日本・韓国・中国のアジア3国は、ロボット市場拡大のため国を挙げて開発に乗り出しており、今後の動向が注目されている。
先月25日、トヨタはサンフランシスコに本社を置く車両共有サービスプラットフォームUberと戦略的パートナーシップを締結した。投資筋は「Uberは独自の自律走行、RIoTプログラムを持っており、トヨタとの連携がどう展開されるかが注目される」としている。
トヨタは昨年11月に、米カリフォルニア州パロアルトにTRI(Toyota Research Institute)を新設し、2020年に向けて今後5年間で約10億ドル(約1200億円)を投入してAIとロボディクスの研究を行っていくことを発表している。
TRIのギル・プラットCEOは、人工知能が運転手を手助けしながら事故を防ぐ安全技術を3年以内に実現させ、人工知能を使った高齢者向けの家庭用介護ロボットも15年以内に実用化を目指すとしている。
今回の発表では、自動運転車については特に言及されていない。しかし、さまざまな自動車メーカーと有力テクノロジー企業が配車サービスに投資を始めており、自動運転車の開発においてもトヨタの存在はひときわ大きい。
一方、昨今の韓国は、サービス型ロボット技術分野の発展に力を注いでいる。サービスロボットは生産・製造・加工プロセス以外で人を助ける設備を指す。高齢者や障害者の補助ロボット、リハビリロボット、清掃ロボット、介護ロボット、教育娯楽ロボットなどがそれにあたる。
より具体的には、先日公開された、「ブイヨ(Vyo)」を挙げられる。これはSKテレコムが世界的なロボット科学者ガイ・ホフマン(Guy Hoffman、コーネル大学教授)氏と共同開発した、人工知能搭載型スマートホーム用ロボットで、スマート家電の総合制御システムと、「感性機能」を搭載し、ユーザーの心を汲み取って動作するのだという。
>>>SKテレコム、スマートホーム用ロボット「ブイヨ」を初公開
また、韓国においてや医療分野のロボット開発が進む。コーヨン・テクノロジーが独自開発した脳手術ロボットが市販を控えている。半導体装備メーカーのコーヨン社は、保有している3D測定検査技術を利用して、脳の内側を見ることができるように医療ロボットを製作した。同社は韓国・食品医薬品安全処から医療機器許可を得るとともに、アメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を経て、今年第4四半期から医療機器を納入する計画だ。
中国では現在、国策としての支援を得えたロボットメーカーが勃興しはじめている 。昨年、中国の産業用ロボット販売量は前年比16%増しの6万6000台を記録した。同時期の北米や欧州が11%、9%の増加にとどまったのと比較すれば、おどろくほどの成長ぶりだ。
中国ロボット産業連盟によると、中国は 2013 年から2 年連続で世界最大のロボット消費市場となり、使用機数では世界の販売台数の約4分の1を占めまでになったという 。加えて、海外のロボット企業に対する買収合併や投資への参入も、このところ急増している。
中国最大の家電メーカー、ミデア・グループ(美的集団)がドイツの産業用ロボットメーカーであるクーカ(KUKA)に買収案を提示する準備を進めている。クーカは、アメリカと欧州市場で1位を走る産業用ロボットメーカー。ミデア・グループはクーカのロボット技術を通じて市場進出を積極的に図る戦略だ。
中国はすでに、世界最大の産業用ロボット市場となっている。ロボットの研究開発や設計、生産製造、工学応用、部品提供などに従事するロボット企業はすでに500社を超えている。ロボット技術は日増しに成熟し、工業界において幅広く応用されている。今後の産業ロボットへの需要の拡大、 ロボット産業の急速な発展が見込まれる中国にとって、関連部品の現地生産による産業用ロボットの国産化は急務となっている。