中国企業&ファンド、海外ロボット企業買収の動き強まる

ロボティア編集部2016年6月14日(火曜日)

 中国企業およびファンドによる海外ロボット企業買収の動きが加速している。13日、中国のプライベート・エクイティ・ファンドAGICキャピタルが、産業用ロボットアームの製造で有名なジマテイック(Gimatic)の買収に合意した。具体的な買収額は明らかにされていないが、市場では1〜1億5000万ユーロ(約119億円〜178億円)だと推定されている。なお、AGICキャピタルは、「インダストリー4.0」に焦点を当てた投資を行うファンドだ。

 1985年に設立されたイタリアのロボットメーカー・ジマテイックは、ここ3年間の売上高が年間20%以上成長しており、全体の売上高のうち約80%が欧州市場で発生している。一方、潜在力が高いとされるアジア市場の割合は、まだ10%にしかならない。AGICキャピタルとしては、今回の買収により、中国などアジア市場での事業を拡大できるものと期待している。

 AGICキャピタルはまた、今回の買収が中国政府が掲げる「中国製造2025」の戦略に合致すると言及。目的のひとつに中国の製造業の強化を挙げた。

 さかのぼること今年の初め、AGICキャピタルは、ケミチャイナ(CHEMCHINA)などとともに、ドイツの化学プロセス機器メーカー・クラウスマッファイ(KraussMaffei)の買収事業にも参加している。買収額は9億2500万ユーロ(約978億円)を記録。中国のドイツ企業買収としては過去最大規模となった。

KraussMaffei
photo by KraussMaffei

 またAGICキャピタルではないが、中国家電大手「美的集団(ミデア・グループ)」が5月中旬に、ドイツの産業用ロボットメーカー大手・クカに買収を提案している。美的集団はクカ社株の13・5%をすでに保持しているが、その出資比率を30%以上に高め、最大株主になる方針だという。市場価格(当時)を上回る1株115ユーロといった好条件を提示したそうだ。国内企業の買収が相次ぐドイツ政府としては、官民一体で進めようとしている「インダストリー4.0」への注力に先駆け、技術流出や競争力低下が起こるではと危機感を募らせているともいう。

 一方、中国は2013年から、世界最大の産業用ロボット市場として浮上した。国際ロボット連盟(IFR)によると、2014年の中国の産業用ロボットの販売台数は5万7000台、全世界の販売台数の25%を占めた。