ドイツ、サービスロボット開発に拍車。政府支援は年間約400億円

ロボティア編集部2014年4月21日(月曜日)

 産業用ロボットで競争力を持つドイツが、サービスロボット開発に拍車をかけている。今後ドイツでは、輸送、セキュリティ、安全、複合ホームケア、モバイルロボットなどの分野で需要拡大が期待されている。 KOTRA(大韓貿易投資振興公社)は、海外ビジネス・情報ポータルサイト「グローバルウインドウ」を通じて、レポート「ドイツ、ロボット産業の動向」を発表した。

 ドイツ政府は、2006年度以来、最先端の技術革新を支援プログラムである「ハイテク戦略」を通じて、ロボット産業を集中的に育成している。ハイテク戦略は、ロボットなど主要先端産業部門でドイツの世界的なプレゼンスを強化し、政府・産学連携の改善を通じた学術的な知識の効率的商用化を目指すもの。ドイツの未来産業育成政策の中枢的役割を果たしており、2010年にはこれを強化した「ハイテク戦略2020」が発表された。

 ハイテク戦略の重点な支援分野は、気候・エネルギー、保健・栄養、モビリティ、コミュニケーション、セキュリティなどである。ドイツは、知能型ロボットの開発を集中的に支援。特に産業(生産・物流)、保健・福祉(家事)と消費財(ホームネットワーク)分野の、サービスロボット研究開発支援に力を注いでいる。

 ドイツ政府はまた、「IKT(情報および通信技術)2020 - 革新のための研究プログラム」の一環として、サービスロボットの技術を開発する企業および産学連携プロジェクトを支援している。これと関連し、2007年〜2011年まで、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)主導のもと第1段階の支援が行われ、2012年からは第2段階目の支援事業が進められている。事業の年間支援規模は3億ユーロ(約410億円)に達する。

 IKT 2020は、IT技術の開発を通じた社会的ニーズの解決と、中小企業支援に重点を置いている。情報通信技術、ロボット技術、医療技術分野を融合したサービスロボット技術の開発に投資を集中させている。

 ドイツの有名工具および機械製造関連誌「プロダクション(Produktion)」によると、2013年には、ロボットの新規受注規模が前年比で14.2%減少したという。地元の専門家たちは、これに対して、欧州の財政危機にともなう産業需要の回復が遅れているのではなく、過去2〜3年間の比較的高い成長に伴う“反動”と評価している。

 ドイツ国内でロボットの主な供給分野となっていたのは自動車産業である。しかし、2012年に自動車産業部門でのロボットの購入が16%減少し、一般産業分野で11%増加した。
2013年には、一般産業分野のロボットの供給割合が前年35%から42%に増加。プラスチック、ゴム産業分野でも需要が着実に増加している。相対的に産業用ロボットがドイツのロボット市場を牽引している状況のなか、サービスロボットはまだ普及が拡大していない。ただ、サービスロボットは、様々な環境での活用が可能となりはじめているため、企業を中心に、着実に需要が増加している。

 ドイツで、ロボット需要が今後増加するとみられている分野は医療サービスをサポートするためホームケアロボット、輸送システム、セキュリティ部門ロボットなど。ソフトウェアや3Dセンサーなどを装着することで現場業務に投入可能なモバイルロボットも新たなトレンドとして浮上する見通しである。

 報告書を作成したKOTRA側の関係者は、「ロボット市場の最も重要な課題のひとつは、環境にやさしい製品の生産と製品トレンドをつくること。省エネ効果が大きい軽量ロボット、革新的なロボット調整システム、モバイル、スタンドアローンロ型ロボットが大きな注目を集めている」と説明した。関係者はまた「高齢化のために発生している社会的需要とともに、最先端技術市場を獲得しようとする米・日・独・スウェーデンなどの技術開発競争が激しい」とつけ加えている。