中国・ワンフェンテクノロジー(浙江万丰科技开发股份有限公司・Wanfeng Technology)が、米溶接ロボット応用システムのサービス企業であるパスリン(Paslin)を約3億ドル(約360億円)で買収した。
ワンフェンテクノロジー側は今回、米国企業を高額で買収したことになるのだが、その理由について「溶接ロボット統合システムのグローバルトップランナーになるため」と説明した。
ワンフェンテクノロジーのウ・ジンファ(吴锦华)会長は「米パスリンは北米の溶接自動動化の分野で最高の技術と顧客層を確保している(中略)今回の買収により、パスリンはグローバル市場への進出を図り、ワンフェンテクノロジーはロボット製造からロボットシステム統合の分野まで事業範囲を拡大することで技術競争力を強化することができるようになった。Win-Winの関係だ」と説明している。
ワンフェンテクノロジーは、浙江省のワンフェン錦源グループ傘下の民営企業であり、グループの主な事業部門は、金融投資と産業用ロボットおよびスマート機器製造となる。一方、パスリンは1937年に設立され、本社は米ミシガン州にある。国際的な溶接ロボット応用サービスのトップランナーとして、米3大自動車会社を含む、北米の自動車産業と重工業分野に自動化システムを提供している。
今回の買収は、中国のロボット分野における台頭の事例のひとつと考えられる。中国・工業情報化部は最近、国家発展改革委員会、財政部とともに「ロボット産業発展計画(2016~2020)」を発表している。これは、2020年までにロボット産業の競争力を強化することを目的とした計画だ。
中国は2013年から世界最大の産業用ロボット市場である。国際ロボット連盟(IFR)によれば、中国における2014年の産業用ロボット販売台数は約5万7000台で全世界の25%を占めた。
ただし、中国国内で産業用ロボットの70%が導入されている自動車分野で、核心技術の不在、また市場開拓の困難に直面しており、海外企業に同市場をほぼ独占されている。ワンフェンテクノロジーのパスリン買収は、自動車製造業におけるロボットの国内競争力を強化するきっかけになると期待を集めている。