中国レストランがロボットを解雇し現在失業中

ロボティア編集部2016年4月8日(金曜日)

 中国・広州市にあるふたつのレストランが、人工知能とサービング機能を搭載したウェイター・ロボットを解雇した。一緒に働く人間のスタッフと作業の歩調を合わせるのが難しいというのが、その理由のようだ。メディア「ワーカーズ・デイリー」の取材に答えた、同レストランのスタッフは次のように話している。

「ロボットたちはスープや他の食事を安定的に運ぶことができなかったし、何度もおじゃんにしそうになった。その様子を見たボスが、“二度と使うまい”と決心した」(レストランスタッフ)

 日本や世界では、ウェイター・ロボットの活躍が画期的だと広く報じられてきた。しかし、実際にロボット導入したり、一緒に働いたりする現場の人々にとっては、トラブル続きだったというのが実情だったのかもしれない。現在、世界中で「ロボットが人間の仕事を奪うのではないか」という議論が高まっているが、なんだか拍子抜けしてしまう話だ。

 なおレストラン側がそのウェイター・ロボットを導入するのにかかった費用は、7700ドル(83万円)以上だそうだ。加えて、メンテナンス代や電気代が、年間数百ドル程度かかるとのこと。

 ちなみに、今回ロボットをクビにしたふたつのレストラン以外にも、ウェイター・ロボットを導入している店舗がある。そちらではまだ、人間とロボットとどちらを採用すべきか明確な判断はできてないそうで、しばらくはPR目的で稼働させるとしている。

「ロボットは多くのお客さんを惹きつける。ただ、人間のウェイターを減らすような仕事はこなせない」(今後もロボットを稼働するとしたレストランのオーナー)

中国_ウェイターロボット
photo by pintu360.com

 これまで、レストランなどにロボットを導入すれば、人件費の削減が可能になると考えられてきた。またロボットは欠勤や休憩をしないため、店舗運営のためのスケジュール管理もスムーズになるのではないかという見通しもあった。

 しかし、日本の研究関係者の話によれば「現在まだロボットは、人間のように作業を抽象的に“ざっくり”と覚えることが苦手。今後の開発課題になっている」とのこと。今回のニュースを見る限り、商業用として一般に普及しているロボットは、作業を理解して実行したり人間と一緒に働く水準に達していないようである。

 はたして、ロボットが自由に働くための知能と体を手に入れる日はくるのか。いずれにせよ、中国での出来事は「ロボットがはじめてクビになった事件」として、人々に長く記憶されそうである。