中国のロボット普及で350万の雇用が喪失か…成長曲線は日本と酷似

ロボティア編集部2016年4月13日(水曜日)

 今後5年間のうちに、中国で350万人の雇用がロボットに置き換わるという予想が発表された。加えて、中国のロボット成長曲線が26年前の日本を“なぞっている”という分析結果も明らかになった。英フィナンシャル・タイムズは、未来アセットマネージメントの投資担当最高役員(CIO)、ラフル・チャーダ(Rahul Chadha)氏の発言を引用。詳細を報じた。

 未来アセットマネージメントは、中国におけるロボット普及が2020年まで年平均35%の成長率を示すと予想。国際ロボット連盟(IFR)の資料によると、昨年、中国の産業用ロボットの設置台数は26万台に達したが、チャーダ氏は「産業用ロボット1台あたり、労働者4〜5人を代替する効果があると考えた時、100万人以上の労働者が、ロボットの導入ですでに仕事を失ったものと推定される」と指摘している。

 このような中国のロボット化の傾向は、ますます加速する見通しだ。 2013年現在、中国の労働者1000人当たりのロボット普及台数は、北米地域の30%、ドイツの11%、日本の9%、韓国の7%水準となっている。

 ただ、日本の成長曲線をなぞり続けるのであれば、その差はさらに縮まるという予想だ。日本の基準時点となっているのは1974年で、中国側は2000年。中国のロボット成長曲線が日本の26年前とほぼ重なる。中国のロボット購入台数は2014年現在5万7000台だが、このまま日本の成長曲線をなぞり続ければ、2018年には15万台に達する。これはIFRの分析とも一致する。

新松機器人自動化股份有限公司_シアスン
photo by 新松機器人自動化股份有限公司HP

 そのような根拠などを総合して、未来アセットマネージメントは今後5年間で350万人の雇用がロボットに置き換えられると分析している。一方、中国のロボット市場を日本のファナック、安川電機、スイスのABB、ドイツのクカなどの企業が占有しているとも指摘。中国ロボットメーカーは、マテリアルハンドリング(material handling)とディスペンシング(dispensing)などの分野で半分以上の市場を占めているが、溶接や組み立て分野ではシェアが低い。また、シアスン(新松機器人自動化股份有限公司)など中国企業は、積極的な価格戦略および、製造分野における核心技術の不在で収益性が高くないとも分析されている。

 なお今年の初め、金融機関・シティバンクグループの分析専門家や、政策調査分析機関オックスフォードマーティンスクール(Oxford Martin School)は、中国の雇用のうち75%が「コンピュータ化」の影響で大きい危機に瀕しているとした。

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