ケンブリッジ大学(Cambridge university)の研究チームが、世界最小の超小型エンジン「アント(Ant)」を公開した。開発者たちは今後、医療用ナノロボットの動力源になりうるとしている。
アントの直径は0.06㎛(1㎛=0.001㎜)で、人間の髪の毛の約1000分の1のサイズ。金ナノ粒子とpNIPAMと呼ばれるポリマーゲルが結合したもので、温度に応じて動力を得る。一般の電気モーターの1000倍ほどの推進力を持つという。
研究者が公開したサンプルによれば、温度が32℃を超えると金ナノ粒子とポリマーが堅く結ばれる。逆に温度が32℃を下回ると、ポリマーが水を吸収し、金ナノ粒子がバネのように膨張する。そのような特性を生かしピストン運動を繰り返すことで、自動車のエンジンのようにナノロボットを動かすのだそう。なお、アントを動作させる温度は、人間の体温に近い37℃に調整することができる。
同プロジェクトを率いるケンブリッジ大学のジェレミー・バウムバーグ(Jeremy Baumberg)教授は、「人々はこれまで、ナノロボットの開発について議論してきたが実現していない(中略)その理由は、これまで液体で動作するロボットを作ることができなかったから」と、アントの特徴を紹介した。
photo by Cambridge university