中国検索エンジンの最大手・バイドゥーが「ドゥミ(度秘)」を公開

ロボティア編集部2015年9月10日(木曜日)

産業用ロボット需要最大の潜在地・中国では、一般の人々の生活の中にもロボットが浸透する兆しを見せている。というのも、最近中国の大手IT企業は、続々とロボット分野への参入を表明している。中国検索エンジンの最大手・バイドゥー(百度)は去る9月8日、北京で開かれた「バイドゥー世界大会2015」で、人工知能を搭載した仮想アシスタントロボット「ドゥミ(度秘)」のソフトウェアバージョンを公開した。

ドゥミはモバイルアプリだけダウンロードすれば、音声認識でレストランの予約、食品配達の注文、映画のチケット購入などの簡単なサービスをこなすことができる仮想ロボットである。今後、教育、ヘルスケア、家事など、サービスエリアをさらに拡大する予定だ。また実体があるバージョンも開発される予定である。

バイドゥーは、ロボットの核心技術である人工知能研究のために、昨年、アメリカのシリコンバレーに人工知能研究所を設立。今年の年末までに、200人の研究者を招聘するため3億ドル(約360億円)を投資することにした。過去にGoogleの人工知能研究を牽引した工知能分野のエキスパート、スタンフォード大学のアンドリュー・ウン教授も獲得している。

アリババも自社クラウドコンピューティング、ビッグデータ分野の競争力をベースに、ロボット事業への進出を進めている。アリババは去る6月、日本ソフトバンク、台湾フォクスコンと合弁会社・ソフトバンクロボットホールディングスを設立。アリババ側が7億3000万元(約138億円)を投資し株持分20%を確保した。加えて、ソフトバンクで開発されたペッパーのグローバル販売業務も担当している。

また、先日には中国の家電グループTCLと提携。Wi-Fiクラウドを搭載し、リアルタイム監視とリモート清掃をサポートするスマートロボット掃除機も披露している。中国のインターネット企業がロボット事業に熱を上げる理由は、それだけ市場の潜在性を高く評価しているからである。国際ロボット連盟(IFR)は、2020年にはスマートロボットの保有量が1500万台を超え、産業規模は1兆5000億ドル(約180兆円)に達すると予想している。

バイドゥーロボット
photo by humanoids.io

全世界的に、Google、マイクロソフト、フェイスブック、ソフトバンク、ヤフーなどのIT企業は、ロボットを次世代の成長分野として相次いで投資している。昨年、マイクロソフトは中国のセキュリティ会社と手を組み、人工知能ベースのチャットロボットサービス「シャオビン」を披露した。

政府の“援護射撃”を受けている中国ロボット市場の潜在力は大きい。中国国務院が去る3月に発表した「中国製造2025計画」には、ロボット産業分野が10大集中育成産業分野のひとつに含まれた。国際ロボット知能機器産業連盟の統計によると、中国は過去2013年に世界最大のロボット市場として浮上している。昨年、全世界で生産されたロボットは、22万4000台で、そのうち中国で生産されたロボットが6万台に達した。

(ロボティア編集部)