英BBCは、自ら絵を描く人工知能(A.I)プログラム「アーロン(Aaron)」を紹介した。
アーロンがインストールされたンピュータおよび装置は、画面上に仮想的に絵を復元するのではなく、実際のキャンバスの上に絵の具で絵を描くという点で、これまでのプログラムと一線を画す。驚くべきは、写真などを模倣して絵を描くのではなく、最初から最後まで人の干渉なしに、色や形を選択して図を完成させてしまう点だ。
画家であり、アーロンの開発者であるハロルド・コーエン(Harold Cohen)は、アーロンに写真情報ではなく、人間の体の構造に関する情報を注入。アーロン自ら絵を「創作」するようにした。当初、コーエンが絵を描くのを手助けするにとどまっていたアーロンだが、最終的にはもたらされた情報をもとに、創造的な作品を披露し始めた。
コーエンは「現在、アーロンは私よりも色をより果敢に選択することがある」と、その能力を評価している。
現在までに開発された人工知能プログラムのほとんどは、アーロンのような、いわゆる“創造性”を備えていない。人間は創作活動を進める間に、目標や表現方法を変えるなど様々な試みを行うが、コンピュータプログラムは「作業完了」という目標のみを実行するのが普通である。周辺からインスピレーションを得ながら作品を表現する人間とは異なり、コンピュータには、インスピレーションや感情を感じ取ったり、表現することができない。アーロンのように芸術活動をするには能力が不足している。
しかし専門家たちは、時間が経てば人工知能にも世界を認識する独創的な視点が生じる可能性があると予測している。ニューラルネットワークで構成されたコンピュータ人工脳にデータを無限に注入して、人工知能がデータのパターンの中から新しい視点を見つける方法を学ぶことができるとBBCは伝えている。
例えば、無人自動車を開発したGoogleのエックス・ラボ(X Lab)は、効率的な写真検索方式を開発しようと人間の脳を模倣したニューラルネットワークを研究する過程で、人工知能の自己学習過程を明らかにした。人工ニューラルネットワークが、不規則な特定の写真の要素を受け入れ、模倣プロセスを通じて最終的に「第3の図」を完成させるという事実を発見した。
ジョージア大学のマーク・リーデル(Mark Riedl)教授は、Googleの人工知能が写真検索を介して得た情報をもとに絵を描いた事実について、「図を完全に理解するのは困難で、まだ独創的な創作と呼ぶには難しい状態」と「芸術家に次ぐ創造的なプログラムを開発するには、人間が享受する世界をデータに換算して、ロボットにすべて注入しなければならない」と伝えた。
創造力を手にしたAIが描き出す世界は一体どのようなものなのか。そしてそれが、社会にどんな変化をもたらすのか。興味が尽きない話題となりそうだ。
(ロボティア編集部)