米連邦航空局が産業用ドローンのガイドラインを定める

ロボティア編集部2016年6月24日(金曜日)

 米連邦航空局(FAA)が21日、初めて産業用ドローンの飛行・運行ガイドラインを策定した。きたる8月末から発効されるこのガイドラインは、目視で確認できる範囲で、低高度飛行する小型ドローンにのみ限定的に適用される。

 米連邦航空局が同日発表したガイドラインによれば、農業、研究、土地開発、教育、電線とアンテナの検査、人道的活動や橋梁検査、野生動物生息区域の調査などのためのドローン飛行が可能になる。これまで産業用ドローンでビジネスを行ってきた企業および個人は、少なくない費用と時間的コストをかけ、米連邦航空局から承認を受けてきた。

 ドローンの重さと高さ、速度については厳しく規制された。ドローンの重量は55ポンド(25㎏)未満、最高速度時速100マイル(161㎞)、最高高度地表面400フィート(122m)以下である必要がある。また、商業用ドローンの飛行は昼の時間帯のみ許可された。特筆すべき規定としては、パイロットがドローンを直接視認できる範囲に限られ、出発地から5マイル(8㎞)以上離れることが禁止された点だ。また、人々の頭上にドローンを飛ばしてもならない。

 結果、Amazonやグーグルなどが進めている遠距離配送サービスは、別途規定が設けられない以上、すぐに実施することは難しい状況となった。物流センターから配送地点まで視界が確保されるケースはほとんどないからだ。

 それでも、今回のガイドラインは、新技術を産業に積極的に受け入れつつ、安全性および安全保障問題上の悪影響を最小限にするだろうと評価されている。

 連邦航空局は今回のガイドライン策定で、米国内の経済効果として今後10年間で820億ドル、10万の雇用創出につながるという業界の分析結果を紹介した。米国は国土が広く、居住空間は密集度が低い。拓かれた場所も多く、ドローン使用に有利な地形を備えている。加えて、情報技術と位置情報・地図サービスなどの技術も発達している。そのため、米国がドローン技術および関連事業において有利な立場にある状況が、しばらく続くと予想されている。