2018年には約1兆円市場に!?期待高まるワイヤレス給電市場

ロボティア編集部2016年7月14日(木曜日)

 昨今、スマート家電を始め、IoTの製品がますます増えている。こうした電気機器と切っても切り離せないのがバッテリー問題だ。

 IoT利用において、モノの遠隔操作や、データの送信をおこなうには電力が必要不可欠だが、遠隔操作や無線によるデータ通信の距離が長くなればなるほど、電力消費量が増加する。この電力をどのように供給するかが現時点で大きな課題となっていると同時に、すでに市場開拓への取り組みも始まっている。

 全自動運転者の開発に取り組むテスラモーターズ社は、充電作業まで自動化する計画を立てている。すでに、蛇のような形をした充電器が自ら動き、自動で充電をしてくれるシステムを昨年に披露している。

 ただ誰もがさらなる理想としているのは、駐車場などに止めるだけで充電できるようなシステムではないだろうか。そこで、自動車メーカーが着目したのが、駐車場に設置した送電機と、車に搭載した受電機をバッテリーと接続し駐車時に対向させるだけで充電ができる、ワイヤレス充電システムだ。

 このワイヤレス充電システムは自動車に限らず、家電製品や小型機器、医療機器や産業用ロボットなどにまで、応用が期待されている。

 米国のリサーチ会社であるIHS Technologyが2014年3月に発表したデータによると、ワイヤレス給電市場は2018年には85億ドル(約1兆円)規模になると予想されている。

 韓国の株式会社AVL KOREAは、売場に備えて使用するスマートフォンの無線高速充電機「充電バンク」を発売した。充電バンクはカフェや飲食店、カラオケ、ビリヤード場などさまざまな場で活用できる携帯電話の充電器だ。

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充電バンク photoby AVL Korea

 従来の充電器では、電源が連結されたところに限られるため、充電する間に電話やメールなどを確認できず不便さが目立っていた。また、充電器不足によって充電ができない場合もある。充電バンクはこのような問題を解消する「画期的な充電器」として、注目されている。

 充電バンク1台に6〜10個の補助バッテリーを連結して使用する方法で、1つの補助バッテリーで2台の携帯電話を充電することができる。また、顧客たちが携帯電話を手放さず、使用しながら充電することが可能だそうで、充電機につなげて置いておくような従来の方法による個人情報流出を防ぐことができる。なお1時間30分程度で100%充電されるようだ。そのうえ簡単な充電方法も魅力だ。有線でつながなくとも、充電バンクに挿入さえすれば、自動的に充電が行われる。

 同社はこの「スライド充電方式」で、特許も持っている。充電バンクの上段には10インチLCD画面が装着されているので、CMや広告イメージを露出することができるという点も強みだ。

 AVL KOREA開発側は「充電バンクは現在販売されている充電器の中で最も早いスピードで充電が可能であり、飲食店やカフェなどを運営する事業主たちにとって、よりよいサービスの提供手段になるだろう」と自信を見せている。

 ワイヤレス給電システムは日本でも成長戦略の一つとしてテーマに上がり、実用化に向けて総務省も動いている。今後、さまざまなメーカーや大学などで研究が進められ、発展が期待される。