ピラミッド内部の”未知の部屋”をロボット飛行船が捜索...プロジェクト「スキャンピラミッド」始動

ロボティア編集部2017年12月15日(金曜日)

ロボット飛行船をエジプトの巨大なピラミッドの中に送り込み、内部にあると推定されている“秘密の部屋”を探索する研究プロジェクトが進められている。

11月、エジプト・カイロ大学とフランスHIP研究所は「ミューオン映像化(muon imaging)」の技術を活用し、クフ王のピラミッドである「ギザの大ピラミッド(Great Pyramid of Giza)」の内部空間を探索する「スキャンピラミッド(ScanPyramid)」プロジェクトを進めることを発表した。ミューオン映像化技術は、空間と岩のような物体間にあるミューオン検出量が異なることに着目して開発された技術である。

問題は、ピラミッドの内部を探索するためには、穴を掘削しなければならないということだ。 2002年、エジプト学の専門家たちは、ロボットメーカー・iRobotに依頼して特別なロボットを製作した。同ロボットは、ギザの大ピラミッド内「女王の部屋」の近くにある小型の垂直通路に投入された。研究チームは、ドアを開く際に遺跡が損傷を受けることを懸念し、ロボットで小さな穴を開けようにした。そして、そこからカメラを挿入。部屋の内側にもうひとつのドアが存在する事実を確認した。

プロジェクトチームは、フランスの研究機関であるInriaとCNRSと協力して、他の探索方法も模索している。ピラミッドに3.8cmの穴を開け、ロボット飛行船を投入するというものだ。ロボット飛行船は、チューブ形の長い管に入って内部に投入される。内部に到着した後、ヘリウムガスを吹き込んでロボット飛行船を膨らませると、飛行できる形に変わる。棒状の長い管は全方向の撮影が可能なカメラを搭載しており、ピラミッドの中に入って内部の写真を撮影することができる。

ロボット飛行船は、直径80cmで、ピラミッド内部を飛行しながら、内部構造を把握することができる。モーター、センサー、照明、カメラ、ナビゲーションシステムを備えており、ペイロードは50gだ。

飛行船が入るチューブ管部品

ロボット飛行船は車輪ロボットや無人偵察機よりもリスクに対して安全だ。障害物を簡単に回避することができ、衝突したとしても致命的な損傷を負う可能性が少ない。ロボット飛行船は任務を果たした後、長い管にあるドッキングシステムに戻り、内部のヘリウムガスを放出した後、外に抜け出す仕組みになっている。

研究チームは、3Dプリンティング技術を利用して各種部品の小型化を進めている。なおピラミッド内部ではGPSが動作しないので、他のナビゲーション技術を採用している。現在、ロボット飛行船のプロトタイプが完成した状態だ。スキャンピラミッドプロジェクトのチームメンバーは、探索場所が決定さえすれば、いつでも探索に入れる準備が整っていると説明している。

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