マイクロソフト社がARヘッドセット・ホロレンズの一般販売開始

ロボティア編集部2016年8月10日(水曜日)

 世界的に爆発的な人気を博している「ポケモンGO」。「プレーヤーがゲームの世界に入り込む」のではなく、「プレーヤーの世界そのものがゲームになる」という画期的なアイデアは、ポケモンが持つキャラクター性やブランドと相乗効果を発揮。瞬く間に支持を集めた。

「ポケモンGO」が注目される昨今、現実とバーチャル空間の融合スピードは日々高まっている。

 マイクロソフトは、拡張現実(Augmented Reality:AR)ヘッドセットである、ホロレンズ(HoloLens)の一般販売を開始した。ホロレンズとは、ワイヤレスで頭につけるタイプのコンピューティングプラットフォームで、自分がその場にいながらバーチャルな空間と融合した世界が体験できる機能を持つ。

 ホロレンズにはカメラが内蔵されており、自分の位置に加え、目の前にどんなものが置かれているのか、自分の手の動きがどうなっているのか、といった情報を取り込む機能を備えている。これによって実際の風景にCGを重ね、「本当はそこにはないが、あるように見せる」という拡張現実のコンセプトを実現する。

 マイクロソフトが公開しているデモ映像を見ると、CGを見ながら会議が行えるようになったり、ゲームキャラクターが実際の世界に飛び出してきたりと、これまでにない世界が提供されている。

マイクロソフト_ホロレンズ
photo by microsoft

 これまで、同製品は開発者のみを対象に販売されてきた。しかし、いまや3000ドル(約30万6千円)を払えば、1人当たり最大5個までレンズを購入することができる。購入にあたっては、アメリカもしくはカナダに住んでいて、かつマイクロソフトのアカウントを持っているという購入条件がある。 売場での一般販売は、現時点では扱う予定はないようだ。

 もともとマイクロソフトには、ホロレンズを普及させ、開発者たちにソフトを作る基盤を用意することで、市場を開拓する狙いがあると考えられている。一般販売が開始したといえ、同製品はまだ開発者向け(DevelopmentEdition)であるだけに、用途も未知数だ。

 同社はまた、ホロレンズの使用の幅を広げるため、さまざまな試みを加速させている。今回アップデートにより新しく加わったのが、ホロレンズ・コマーシャル・スーツ(HoloLens Commercial Suite)だ。ここには、企業セキュリティに関する機能や、デバイス管理機能などが組み込まれている。使用するアプリケーションを制限したり、ユーザーの本人確認機能、ディスク全体を暗号化することができる、ビットロッカー(BitLocker)機能もある。

 今回のアップデートからは、ホロレンズを用いた製品をまず、企業を対象に大々的に普及させたいマイクロソフトの思惑が見てとれる。マイクロソフトは、インテルとAMD、クアルコム(Qualcomm) 、HTCコーポレーション、エイサー(Acer)、エイスース(ASUS)、デル(DELL)、ファルコンノースウエスト(Falcon Northwest)、HP、レノボ・コーポレーション(Lenovo Corporation)、マイクロスターインターナショナル(MicroStar International: MSI)など、12社にホログラム技術を提供することを発表した。

 また、ハードウェアパートナーを対象に、今年11月に開かれるハードウェア開発者会議(Windows HardwareEngineering Conference:WinHEC)で、マイクロソフトホログラムに対する詳しい紹介を進める予定だ。