労働者からロボットへ、中国の工場で労働力の代替が進む

ロボティア編集部2014年9月28日(日曜日)

 中国が、安価で豊富な労働力に満ちた人口大国であるという神話はすでに昔話になった。現在、急激な賃金上昇によって人手不足が深刻な企業は多い。約10年前、中国南部で始まった労働力不足は、近年、東部沿岸都市部を経て徐々に内陸まで拡散している。特に熟練技能工​​の不足問題は深刻だ。2013年、中国の人力資源・社会保障部によると、中国製造業の熟練技能工​​の不足人員は400万人にのぼる。

 急上昇する人件費と比例するように、工場の自動化とロボットシステムの導入が進んでいる。2013年に、中国は世界の最大の産業用ロボット市場に浮上した。世界ロボット連盟(IFR)によると、2013年の中国のロボット購買数は合計3万6560台。グローバル市場におけるロボット購入全体の20%に占める数値だ。同年、日本を抜いて世界1位のロボット市場に浮上した。

 同年のロボット購買数が、日本2万6015台、米国2万3679台であることを鑑みれば、中国のロボット購買力の大きさが分かる。中国のロボット輸入量は、2008年から2013年まで年平均36%ずつ増加した。特に2013年の購買は前年度比60%増となった。

 中国からすれば、ロボットの導入は人件費の上昇と、高齢化を解決する鍵となる。一般製造業を営む企業の生産性を向上させるという観点からも注目に値する。相手先ブランド名製造=OEM方式を採用する企業としてはじまり、中堅小型家電メーカーとして成長した深センアイメーター(深圳艾美特)が代表的な事例となる。同社関係者は、「扇風機台をペイントするには2人必要だが、ロボット一台を使用すると最高9台の扇風機をペイントすることができる」とし「ペイントをする厚さや光沢も、人が作業するより優れている」と話している。同社は、プレス、モーター、旋盤など様々な部門に合計3000万元(約5億5000万円)を投資して、ロボットの導入を進めている。

 中国では、爆発的なロボット輸入量の増加を見せている反面、人口比でみるとロボット使用量が少ない国に属する。言い換えれば、まだまだ市場の成長に余力があることになる。中国のロボット人口密度(robot-density)は2013年の段階で23台。日本は332台、ドイツが273台、米国が141台、韓国が396台となっている。世界平均58台と比較すると、中国のそれは非常に低い水準にある。まだ多くの作業を人の手に依存している。

 金型メーカーである東莞钜升塑膠電子制品有限公司は、昨年からロボットを本格的に導入し始めた。スマート精密金型生産ラインを作り稼働中である。 3000人の労働者は1700人まで減らした。アップル製品を委託生産するフォックスコンも、深センの工場だけでも1万台を超えるロボットを保有している。今後3年以内に、100万台以上のロボットを導入する計画である。