マイナス成長のデンマーク経済...ロボット導入・自動化で復活か

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DTIのイメージ写真 photo by odenserobotics

 工場の自動化が達成されると、海外に流出していた工場も国内回帰をはじめた。デンマーク商工会議所は、2008年の金融危機以降、海外に流出した15万の雇用がデンマークに戻ってきたと分析している。

 デンマークが産業用ロボットの活用に成功した背景には、ロボット開発インフラを集中・強化してきたという実情がある。人口17万人のオーデンセ市には、ロボット関連企業が70以上密集しており、年間7000台以上のロボットを生産しているという。

「ロボット・ハブ」と呼ばれる同地域では、ロボット関連のビジネスアイデアが採用されると、24ヶ月間無料で事務・ワークスペース、会議室、カフェなどを使用することができる。また、ロボット産業の中枢としての役割を果たすデンマーク技術研究所(danish technological institute=DTI)が、技術的なアドバイスを提供。投資家とのコミュニケーションも仲介する。

 同地域に拠点を構える企業群が開発したロボットは、重量物の運搬、微細溶接、組立など多方面で活用される。専門家たちの分析では、不足している熟練労働力の穴を埋め、さらに現在働いている労働者の生産性も高めているという。

 デンマークの問題は、先進国にとって共通の課題と言える。高齢化や人口減少による生産性の低下を、ロボットもしくは移民=海外労働者の確保で解決しようという国も多い。デンマークのロボットへの取り組みは、今後他国にどう影響するのだろうか。いずれにせよ、非常に興味深いスタディーケースとなることだけは間違いなさそうだ。

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。