英オックスフォード大学・ジョン-レッドクリフ病院(John Radcliffe Hospital)は8月末、70代男性の目の手術を行った。その手術は世界初となる、ロボットを用いたケースとなった。
手術を受けた男性が目に異常を感じたのは今年7月。視力を回復するためには、目のなかにある0.01mmサイズの膜を除去する必要があった。そこで治療スタッフは、アイントホーフェン工科大学から立ち上がったオランダ企業が開発したロボット「プリサイズ・サージカル・ロボット(Preceyes surgical robot)」を導入することを決定。実際に手術に使用した。
なおこれまで、手術のサポートにロボットが使用されたケースは少なくない。しかし、「目の内部でロボットを活用した手術は初めてだ」と、BBC放送をはじめとする海外メディアは報じている。
手術用ロボットアームは、人間の医師の手のように震えることがない。今回の手術に関しては、人間の手ではほぼ不可能だった手術を成功させたという。
手術を行ったオックスフォード大学のロバート・マクラーレン(Robert MacLaren)教授は、「眼球後部の手術は非常に高い正確性が必要(中略)小さな穴を通じて体内に入るロボットが(目を)傷つけず手術を成功させられるかどうかが課題だった」と説明している。
「普通、手で行う手術だと網膜を傷つけ、出血の危険がある(中略)ロボットを使うと、きれいに膜を除去することができる」(マクラーレン教授)
手術が成功した男性は、その後、視力が回復。ロボットがはじめて手術を成功させた事例が、自分自身であるという点について喜んでいるようだ。今後、この男性以外にも12名の患者が、ロボットを使った手術を受ける予定だという。