韓国・保険企業がウェアラブル機器連動型のフィンテック保険検討

ロボティア編集部2016年10月5日(水曜日)

 スマートウォッチをはじめ、ウェアラブル端末が続々と市場に登場している。これら新デバイスは、単なる「ヘルスケア用品」としてだけではなく、健康保険や決済などのサービスの入り口として、ビジネスにも活用され始めている。

 今回、韓国・未来アセット生命が、ウェアラブル機器と連動したフィンテック型保険商品をつくろうと検討に乗り出した。ウェアラブル機器を通じて顧客の健康をチェックし、ある程度のカロリー消費が見込める際には、保険料を割引するなどの特典サービスを与えるという内容だ。これまでに韓国では、禁煙による保険料の割引サービスなどは存在したものの、日常の健康管理に着目し、顧客次第で割引が適用されるといったサービスはまだ前例がなく、関心が高まっている。

 しかし、課題は多く、保険業法に抵触する恐れもあり、商品企画が行き詰まっている。これまでに未来アセット生命では、ウェアラブル機器を顧客に贈呈する形で保険商品を作ろうとしていた。そのため、特定ウェアラブル企業と協力するか、独自に開発するか、すでに市場に出ているウェアラブル機器を活用するかなど、幅広く検討を行ってきた。

 そこで問題となっているのは、そのウェアラブル端末を支給する方法だ。韓国の保険業法第96条によると、保険会社は保険加入者に対して、年間保険料の100分の10、もしくは3万ウォン(約2700円)のうち、より小さな金額を超過する金品を提供することはできないとされている。すでに普及されているスマートフォンなどの機器を活用するなら問題はないが、一般発売している商品を使う場合にも、開発元の親会社と提携しない限り難しいと言える。

 一方、独自開発をすれば、開発費や単価が高くなり、少なくとも3万ウォンを超過する可能性が高まる。いずれにしても、ウェアラブル機器を提供するとなると、法律に触れる可能性が高いというわけだ。このような内容をもって、国務調整室傘下の新産業投資委員会にもウェアラブル保険に関する提案がなされ、検討過程では金融委員会にも質疑が行われた。

 未来アセット生命の関係者は「まだ検討している段階で、どのような方向にするかは決定していない」としながらも、「機器を独自開発した場合、今後金融当局側にも連携を要請する必要があるため、前段階として質疑応答をした」と説明している。

 韓国金融当局は、連携を承諾するのかどうかは未だ検討中だが、ウェアラブル機器を顧客に贈呈する案よりは、従来の機器で健康を測定し保険料を割引する案の方が、より顧客にも普及するのではという見解を示している。

 ただ、特定のウェアラブル機器だけを認めたり、新たに自己開発を行った場合、顧客の選択肢を制限することにもなり得るという点で、議論は長引きそうだ。保険業界の関係者は「ウェアラブル機器を顧客に贈呈するとした場合、購入にかかる端末の価格は事業費や保険料を通じて、ある程度の回収を見込めるはず」としている。

 一方、顧客にウェアラブル機器を購入させる方法で保険商品を提供した場合、顧客獲得があまり見込めず、ウェアラブルと金融サービスの連携メリットが低下する可能性がある。また、仮に機器購入に関して解決したとしても、顧客のプライバシーに配慮すべきデータの集合体ゆえに、どうしても医療情報の扱い方や、個人情報の管理など、新たな問題が発生することが予想される。

 韓国の保険業界の関係者からは「海外ではウェアラブル機器等を活用する金融グループ社が、連動させてカードサービスを付与するなど、サービスが活発に行われ、顧客自身が健康を管理しながら、さらに特典も受けられるという好循環の構造の保険商品がすでに販売中であり、好評も得ている」と賛成の声が上がる一方、「しかし、国内にはいろいろ現実的な問題が多く、歩数を通じて歩いた分だけ割引するような、基礎的な水準でとどまるなど、越えなければならない課題が多く残っている」と指摘している。

 韓国では、このところヘルスケア市場が急成長を遂げている。フィンテックとの融合によって、新たな市場開拓なるのか。今後、法律や企業連携の動向に注目が集まりそうだ。