豪「都心で臓器&血液輸送」医療用ドローン試験飛行を計画

ロボティア編集部2016年11月5日(土曜日)

 オーストラリアで、ドローンを利用した臓器&血液輸送プロジェクトが進められている。これは、車の渋滞が激しい都市部で事故が起きた際などに、患者に迅速に医療物資を提供するための試みだ。

 オーストラリア地元紙などは10月30日、航空、保険、法律関連会社がコンソーシアムをつくり、「エンジェルドローン」(Angel Drone)という名称の輸送プロジェクトを準備していると報じた。

 ドローンの飛行に厳しい制限を加えているオーストラリア民間航空安全庁(CASA)も、今年内にニューサウスウェールズ州郊外でテスト飛行を行えるよう承認を与えている。

 コンソーシアム側は、テスト飛行を通じてデータを収集する予定。混雑した都市でも、ドローンが安全に活用できると証明されることを期待している。

「目的は時間を節約して、命を救うこと(中略)試験を通じて、多様な医療用目的でドローンを使用できるよう、当局の承認を受けるのが目標だ」(航空法専門家、コンソーシアム代表ロン・バーチ(Ron Bartsch)氏)

 またコンソーシアム側は、先住民が住む地域に血液、臓器、生体組織標本を送るため高速ドローンを導入したり、交通事故の現場に医師1人が乗ることができる有人ドローンを迅速に投入できるよう望んでいる。

 世界的な脳外科医で、今回のプロジェクトの広報を引き受けたチャールズ・テオ(Charles Teo)博士は、鉱山や軍隊ではすでに同技術が採用されており、もし医療に採用されれば全世界的な利益になるとしている。

 バーチ氏はテストに必要な資金を得るために医療サービス企業ともコンタクトを取っている。それらの企業は、パプアニューギニアの山岳地帯で、ヘビの解毒剤を配送するという内容に特に関心を寄せているという。ヘリコプターだと約8万オーストラリアドル(630万円)の費用がかかるが、ドローンを使用すれば、コストがはるかに安く、また迅速かつ安全だとバーチ氏は説明している。

photo by AEROLENS