ロサンゼルス郡保安局が「ドローン警察」正式採用…市民は監視社会化を懸念

ロボティア編集部2017年1月16日(月曜日)

 ロサンゼルス郡保安局(LASD)が、ドローンを事件現場に投入する。犯罪に対して迅速かつ効果的な対応を行うことを目的としているが、一方でプライバシー侵害や住民監視に関する議論も高まりそうだ。

 ロサンゼルス郡保安局のジム・マクドネル(Jim Mcdonnell)局長は12日、本部で記者会見を開き、ドローンを各種現場に活用し迅速な対応を行うと強調した。

 ロサンゼルス郡保安局が導入するドローンは、直径約60㎝。白いカバーには、保安局のロゴと「RESCUE」という赤文字が刻まれている。ボディの下には、カメラが装着されており、最大飛行時間は20分間、最大飛行距離は1.6㎞となる。なお、1台当たりの価格は約1万ドルであることが分かっている。

 マクドネル局長はドローンを放火現場、火災現場、爆弾の脅威やテロ現場、人質現場対応などに使用すると明らかにした。緊急事態発生時に、警官の代わりにドローンを現場に飛ばし、状況を迅速に把握するために用いるというものだ。

「出動現場で警官が危険にさらされないケースはほとんどない(中略)ドローンは警官と市民の命を守るために役立つだろう」(マクドネル局長)

 なおロサンゼルス郡保安局のドローンは、特殊作戦専門の部署が運用する。すでに警官8名がドローンの使い方を学び、米連邦航空局(以下、FAA)の使用許可も受けている。

 ロサンゼルス郡保安局のドローン導入に対して、公民権団体らは市民のプライバシーが侵害される可能性があるとして憂慮してもいる。司法機関が裁判所の令状なしにドローンを使用すれば、社会活動家の監視、民間人査察、表現の自由萎縮などの副作用が発生すると指摘している。

 過去には2012年に、ロサンゼルス郡保安局がLA南部に位置する都市・コンプトンで予告なしに軽飛行機を利用し、都心を9日間監視。非難を受けた。 2014年にはLA警察がドローン2台を運用しようとし、市民の反発で撤回している。

 マクドネル局長は「ドローンは絶対に市民を監視することに使用していない」と強調した。一方、FAAは「(ロサンゼルス郡保安局の)ドローン使用時間と利用目的は、FAAに報告されなければならない(中略)ドローンをどこでどのように使用するかはLASD側の裁量」としている。

photo by LASD