米ITメディア「2017年に注目すべき海外AIスタートアップ5社」

ロボティア編集部2017年1月19日(木曜日)

 人工知能(AI)は2017年も、社会およびビジネス的に大きな話題となりそうだ。Googleサンダー・ピチャイCEOは過去に、世界が「モバイルファースト」から「人工知能ファースト」で動きはじめていると指摘したこともある。

 企業間の買収競争も激しい。2016年には、インテルがネルヴァナ・システムズ(Nervana Systems)を、クラウドコンピューティング・サービス企業セールスフォース・ドットコムは、メタマインド(MetaMind)をそれぞれ買収した。そして今年に入り、マイクロソフトが人工知能スタートアップ「Maluuba」を買収したと発表した。

 そんななか、IT専門メディア・ベンチャービートが、今年注目の人工知能スタートアップ5つを紹介した。

 はじめに紹介されていたのは、ベイ・ラボラトリーズ社(Bay Labs)。ディープラーニングを使用した医療イメージングを提供する企業だ。以前、Googleの気球を用いた移動体通信システムを構築する「プロジェクト・ルーン(Project Loon)」に従事していたヨハン・メス(Johan Mathe)氏などが在籍する。フェイスブック人工知能研究所ヤン・ルクン(Yann LeCun)所長をはじめ、コースラ・ベンチャーズ(Khosla Ventures)などが投資を行っている。

 二番目に紹介されていたのは、セレブラス・システムズ(Cerebras Systems)。代表を務めるのは、アンドリュー・フェルドマン(Andrew Feldman)氏だ。フェルドマン氏は、マイクロサーバー企業であるシーマイクロ(SeaMicro)を、半導体企業AMDに売却して注目を集めた。売却価格は3億3400万ドルだった。セレブラス・システムズは、AIのハードウェアを開発しているそうだが、現在は“ステルスモード”(情報非公開)でその実態はあまり知られていない。ただ、ベンチャーキャピタル・ベンチマークなどから、2000万ドル以上の資金を投資されていると報じられている。

 次いで取り上げられていたのが、米カリフォルニア州に拠点を構えるディープビジョン(Deep Vision)だ。同社は、ディープラーニング用低消費電力チップを開発している。スタンフォード大学出身のレハン・ハミド(Rehan Hameed)氏と、ワザハート・クアディア(Wajahat Qadeer)が共同創業した企業だ。ふたりは、「コンボリューションエンジン(Convolution Engine)チッププロセッサ」に関する論文を共同執筆している。

 四番目はグラフコア(Graphcore)だ。ニューラルネットワーク技術を活用し訓練と推論を可能にした、インテリジェントプロセッシングユニット(IPU)PCIeアクセラレーターを開発している。また既存のMXNet、Googleが公開している人工知能ライブラリ「テンサーフロー(TensorFlow)」などで作業することができるソフトウェアも開発中である。ボッシュベンチャーキャピタル、ファンデーションキャピタル、サムスンカタリストファンドなどが投資している。

 最後に紹介されていたのは、シンガポールの人工知能スタートアップ・ヴィセンズ(ViSenze)だ。2012年に設立された同企業は、画像認識の分野の人工知能スタートアップ。楽天ベンチャーズの資金支援を受けており、シンガポール国立大学と中国の清華大学が共同で設立した研究センター「ネクスト(NExT)」からスピンオフして設立された。ネクストは、シンガポール国立大学と中国の清華大学が共同で設立した。ヴィセンズは、オブジェクト認識と画像のタグ付けなどに関するソフトウェアを開発している。

photo by ViSenze