LINEが人工知能アシスタント採用か!? ユーザー数頭打ちの打開策なるか

 こう見ると、LINE社は外部で開発した人工知能をベースにした顧客応対サービスを提供しており、ネイバーは独自開発した人工知能を強化しようとしている。プロジェクトJは、両社がそれぞれ培った人工知能開発および運用能力、メッセンジャーアプリで培った技術と経験を統合する試みになると予想される。

 ネイバー側は、プロジェクトJの結果が、LINEアプリに影響を与えるだろと予測している。またLINEは検索などに比べてユーザーにより密接なアプリであり、より生活に近い対話や言葉が行き来するため、人工知能アシスタントサービスの品質向上に適しているともしている。

 なおプロジェクトJは、今年上半期に人工知能を搭載したスピーカーをリリースすること、そしてその後、家や車など人々の生活に浸透する人工知能ベースのサービスを公開することを目標として掲げている。

 ネイバーとLINE社が開発している人工知能アシスタントが、LINEアプリに優先的に採用される場合、まず日本語から先にサポートされる可能性がある。というのも、LINEの売上の3分2(73%)が日本で生まれており、LINEが力を注ぐニュースやタイムラインの月間アクティブユーザーの半数近くが日本のユーザーだからだ。

 この手のAIアシスタントとしては、IBMのワトソンが市場で先行している。ワトソンはすでに、コールセンターやホテルなど多くの場所で実用化されているが、一方、LINEなどIT企業にとっては、これまで築き上げてきたプラットフォーム(メッセンジャーアプリなど)で自社のAIをいかに強化し、サービスの質を高めていくかが問われている。一部、利用者数や新規ユーザーが頭打ちにあるとの報せもあるLINEだが、人工知能を使ったアシスタントサービスが打開策となるか注目したい。

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。