世界最大のモバイル展示会「モバイルワールドコングレス2017(Mobile World Congress、以下MWC2017」が先月、スペイン・バルセロナにて4日間にわたり開催された。同イベントには、世界208ヵ国の専門家らが出席し、延べ2300社以上の企業が最新の情報通信技術を展示。参加者も、開催以来初めて10万人を突破したという発表だ。
MWC 2016では、移動通信社がこぞって5Gの通信速度を競い合っていたが、今年は通信速度競争から脱し、他技術と融合させる姿が目立った。
ノキアやSKテレコムのブースでは、5Gベースのコネクテッドカーが登場した。コネクテッドカーとは、自動車にインターネット通信機能を付加しただけでなく、様々なデータを収集・分析して利用者に提供し、利用者の生活情報まで含めてサービスを提供する情報端末として利用できる自動車のこと。人工知能に膨大なデータを収集し学習させるのには、 短時間に多量のデータを通信できる5G通信が適していると言える。
また、ファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)は、5GとVRを連動させたコネクテッドカーとドローンを披露しており、ZTEは展示場3箇所にわたり大規模なブースを設けて5G通信ソリューションを大々的に広報した。
昨年MWCで大きな話題を集めた仮想現実(VR)はそれほど目立っておらず、展示されたVR製品の数は去年と比べると大幅に減少した。なお、サムソン電子が展示したVR体験ブースには連日、観客が列をなしていたが、目を引く画期的なものはなく、「VRの普及にはまだまだ時間を要するようだ」と、各メディアは報じている。
今年のMWCでは、主な世界大手メーカー6社が新製品のスマートフォンを公開した。 ソニーの「エクスペリアXZプレミアム」を皮切りに、中国TCLの「ブラックベリーKEYone」やファーウェイの「P10」、レノボの「MotoG5」、HMDグローバルの「Nokia6」、LG電子の「G6」がそれぞれ公開され、一部派生モデルも発表された。
一方、昨年大量の返品対応に追われ、政治的な不祥事によって今も低迷を続けているサムソン電子は、今回新製品を発表するに至らなかった。サムソンが開発を進める「ギャラクシーS8」は人工知能仮想アシスタント「ビクスビ」、虹彩・指紋認識センサーなどを搭載しているという。サムソン電子側によると、ギャラクシーS8は今月末頃、米ニューヨークやロンドンで同時に公開する予定だという。
昨年1億3880万台のスマホを出荷したと言われているファーウェイは、世界シェア3位の貫禄を見せた。新製品P10では世界中で1000万台を売り上げた前機に引き続き、ドイツの高級カメラメーカー・ライカと提携し、カメラ機能の強化を行っているという。
また、昨年中国内のスマホ市場1位の大躍進を遂げた、オッポモバイル(広東欧珀移動通信)も注目を集めていた。オッポがリリースしたヒットスマホ商品「R9」は、昨年3 月に発売されて以来、販売量2000万台を突破。続けて10月に発売されたスマホ「R9s」も高い人気を博している。オッポは今回三度目の MWC参加となるが、これまでで最大の展示ブースを設けた。新製品は展示しなかったが、自社で開発した最新のスマートフォンカメラ用5倍光学ズーム技術を公開。加えて、アップルのiPhone7と自社のカメラのズームを直接比較できる体験コーナーを設け、カメラ性能の良さをアピールした。
photo by GSMA