ロボット大国目指す中国…サービスロボット需要は莫大

 中国の実情としてはまず、高齢者を支えるテクノロジーとして、家庭用ロボットの需要が高まりつつある。畢秘書長は言う。

「高齢化に備え、家庭用ロボットの開発企業が増えています。中国では60歳以上の高齢者が、すでに2億人に達している。高齢化問題は深刻です。またそのスピードも上がってきており、現在では毎年800万人以上のペースで増え続けています。2020年までに2億5500万人、2030年には4億を超え、2050年には4億8000万人に達するとも言われています。しかしながら、そのときに介護ができる年代層にはひとり子が多く、自分の子どもの世話や仕事で手一杯になってしまう。そのため、高齢者のパートナーとして家庭用ロボットのニーズが高まっているのです」

 家庭用ロボットのニーズを支えるのは高齢化だけではない。畢秘書長は続ける。

「統計によると、中国には7000万人ほどの留守児童(都会へ働きに出た両親と離れて農村で暮らす児童)がいると言われており、親子のコミュニケーション不足が問題になっています。家庭用ロボットが児童の孤独感を減らし、情感を与え、同時に親の仕事と家庭の両立を手助けする。そういう未来像が望まれています」

 高齢者が2億人、留守番児童が7000万人――。想像を絶する膨大な人数だ。中国では、経済的、社会的課題の双方が産業用およびサービスロボット需要に直結していることになる。畢秘書長は、「中国でもいずれサービスロボット市場が、産業用ロボット市場を上回る可能性がある」とも付け加えた。それは、日本や世界の関連団体および大手市場調査の見解と似た見通しである。

 中国のシリコンバレーと呼ばれる深センでは、サービスロボットの開発に従事する人々の姿を目撃することができる。深センには、高度な教育を受けられるオンライン大学や、インキュベーター施設が日を追うごとに増え続けているのだが、資金や情報を調達し、新時代のロボットを開発することに情熱を傾けている人々のほとんどは、高度な教育を受けた20~30代の若者たちだった。彼らは楽観的に、そして現実的に、ロボット大国化する中国の未来像を語っていた。

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。