クラウド時代に突入し、ロボットの活用方法、また関連企業のビジネスモデルが変化の兆しをみせはじめている。ロボットメーカーとクラウドサービス企業が協力し、必要な時に適切な費用のみを出してロボットを使用できる「ロボティクス・アズ・ア・サービス(Robotics as a Service、RaaS)」が注目され始めている。
現在、ロボットと産業現場で使用される組み込みシステムが、Webとクラウドコンピューティング環境を通じて統合される傾向にある。アマゾンの物流センターでは、ロボットが複数の商品を分類・保管する用途で使われているが、今後、大規模な倉庫や店舗などでもロボットが使用されるシチュエーションは増えていくはずだ。
RaaSにおいては、ロボットが顧客の嗜好、在庫状況などデータを収集し、クラウドに送信する役割を果たす。RaaS事業者は、それらデータをもとに、企業がロボットを使いやすいようにする役割や、ロボットのメンテナンス作業を支援する。仮にロボットに問題が生じた場合は、クラウドベースのシステムを活用してバックアップ。低コストかつ柔軟に業務管理を遂行する。
市場調査会社ABIリサーチの関係者は、現在のRaaS事業者は2つの異なる方法で、ビジネスにアプローチしはじめていると説明している。
まずひとつが「クラウドロボット」だ。これは、ユーザーが支払った金額の分だけ、希望するロボットおよびコンピューターの能力、データストレージを活用できるようにするというものだ。もうひとつは、ロボットシステムを月毎、もしくは四半期毎など期間を区切って貸し出すというもの。クラウドを活用した技術サポートとリアルタイムモニタリングなど、周辺サービスも、もちろんこれらに含まれる。
長期的な視野に立てば、これまでは多くの技術が「製品を売るモデル」から「サービスを販売するモデル」に移行していった。関連企業が、技術サポート、メンテナンス、アップグレードなどでより多くの収益を上げるためだ。 今後、ロボット産業においても、技術を持つ事業者が、RaaS方式のビジネスモデルに舵を切っていくはずだというのが、ABIリサーチ関係者の見立てだ。
現在、RaaSのビジネスモデルを採用しているた企業は、ドローンを活用して農業地域を測量するプレシジョンホーク(Precision Hawk)、監視用ロボットのサービスを行うナイトスコープ(Knightscope)、病院用の輸送ロボットを提供するエイソン(Aethon)、モバイル遠隔診療ロボットメーカー・インタッチヘルス(InTouch Health)、無人水中探査ロボット開発メーカー・リキッドロボティクス(Liquid robotics)などである。
photo by knightscope
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