マシンラーニングなどAI技術の需要が高まる中、その動作に適したGPUが必需品となりつつある。そのGPU産業分野で破竹の勢いを見せているのが、昨今、日本でも何かと話題になることが増えたNVIDIAだ。
アジア太平洋地域販売マーケティング担当バイス プレジデント、レイモンド・テ(raymond Teh)氏は、関係各所と契約を締結するため韓国を訪問。現地メディアのインタビューに答えた。テ氏は「AI時代が到来し、我々は市場をリードしていることを肌で感じる」と、まず現在の状況について感想を述べた。
NVIDIAは、AIブーム以前から「GPUによる汎目的計算(GPGPU)」というコンセプトを提示してきた。が、当初はあまりにも先進的な技術だったため、市場への普及には困難が伴った。それでも開発したGPUが優れた性能を持つと認められてからは、世界のAI関連企業と相次いで協力関係を締結。GPUチップをはじめとする、高性能コンピューティングシステムの供給に拍車をかけている。
NVIDIAと協力している企業は、システム、ソリューション、サービスなどの分野を選ばない。テ総括は韓国メディアの取材に対して、次のように話している。
「Google、アップルをはじめ、クラウドサービスの強者アマゾン、人工知能を研究する学者や、(AI)導入を検討している政府、デジタルヘルスケアプロバイダまで、すべての企業がNVIDIAと協力している(中略)韓国でもSKT、KT、LGユープラスなど通信3社、ネイバー、カカオなどのIT企業、現代起亜車など自動走行を用意している自動車会社とAI部門で協力関係を結んでいる」
テ氏によれば、AIブームは欧米よりもアジア太平洋地域で顕著とのこと。先端技術分野は、以前まで北米地域の開発状況をアジア諸国が追随する形だったが、現在はアジア太平洋地域の技術動向や関連論文を、北米地域が関心を持って見守っている状況だとした。なおNVIDIAの地域別売上高は、これまで日本、中国を含むアジア太平洋地域の割合が20%に過ぎなかったが、最近では50%を超えたという。
テ総括は今後、AIがアジア勢の牽引のもと、自動走行車やホームオートメーションの分野を中心に発展するとも予想している。というのも、マシンラーニングの利用領域は広いが、それらふたつの分野では実際にユーザーがAIのパフォーマンスに接する機会が多いからだ。
現状として、ホームオートメーションの領域では、マシンラーニングで学習するAIアシスタントを搭載した家庭用スピーカーが相次いで登場してきている。また自律走行車については、世界の自動車メーカーが我先にと実用化を競っている状況だ。それらの背景を考慮すれば、GPUの需要も急増するというのがテ氏の予想だ。
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