ロボットの皮膚を作れ!光センサーでセンシング機能を高める

ロボティア編集部2015年10月3日(土曜日)

 ロボットの商業化、実用化にはセンシング機能の発達が欠かせない。特に、人間とともに生活もしくは作業をするロボットにとっては非常に重要な要素となる。

  オプティカル・ソフト・センサーを開発した研究者たちによれば、光学センサーはロボットの手に利用するのに適しているという。はたして、それはどういう意味なのか。研究者たちは、光ファイバをロボットの指の素材に使用することにより、ロボットが自律的に触れる場所を決めたり、触れた時の強さを感知することができるようになるという。

 この動画に出てくる段階の光学センサーではまだ実用段階にはないものの、今後新たな伸縮性をもった光感知素材が登場すれば、ロボットの“皮膚”として使用できる可能性があるという。また、そこから多くのフィードバックを人間側に提供することができるようにもなるそうだ。

 カーネギーメロン大学のロボット工学博士であるパク・ヨンレ氏は言う。

「ロボットが自律的に仕事をこなし、かつ日常の環境で予想外の出力で人間や周囲の環境を害さないようにしたいとしましょう。その場合、ロボットには、より多くのセンサーが必要となります。例えば、人間の指先には数千の感覚単位があります。蜘蛛の脚にも数百の感覚を感知する機械受容器がある。ですが、米国の最先端ヒューマノイドロボットであるNASAのロボノート(Robonaut)でさえ、手と手首にはセンサーが42個しかありません」

 従来の圧力または力覚センサーは問題が起きやすい。というのも、配線は複雑であり壊れやすく、電気モーターや他の電磁デバイスからの干渉を受けやすいからだ。ただ、単一の光ファイバにはいくつかのセンサーを含めることができ、理論的にはタスクを処理することができるという。しかも、従来のセンサーのように電磁干渉(電波妨害)を受けない。

 コントロールされ、かつ人間を危険にさらさない隔離された環境に置かれた産業用ロボットは、限られたセンサーでタスクを精密にこなす。しかし、日常的に人間とともにタスクをこなすロボットを開発するためには、より精密な触覚やセンシング機能が不可欠だとパク氏は言う。

 現在、世界各国ではウェアラブルロボットや介護用ロボット、サービスロボットなどが開発されているが、懸念されているのは本当に人間にとって安全であるかという点だ。思わぬ出力が出たり、人間の存在を感知できない場合、人間に危害が及ぶ可能性は否定できない。事故が起きる可能性があるならば、商品として成り立つのは難しい。

 パク氏はカーネギーメロン大学とテキサス大学の研究者たちと合同で、伸縮性と柔軟性が高い光センサーを発明した。動画のような光センサーは、ロボットの手に組み込むことができ、接触を検知するだけでなく、どのくらいの力が加わったか測定することが可能だという。現在、NASAも同研究をサポートしている。

photo by UPMC