オフィス内の清掃を完全自動化...独テクノロジー企業が目論む「掃除ロボット大作戦」

大澤法子2017年8月21日(月曜日)

 家庭内の掃除の強力な助っ人であるアイロボット社の家庭用掃除ロボット「ルンバ(Roomba)」。窓や障害物との間を真空状態にし、ごみやほこりを吸引するため、吸引力においては申し分ないレベルだ。今やアプリとの連動で、部屋の中をマッピングし、どの程度掃除したかを確認できるようになっている。

 そんな家庭の必需品として定着しつつあるルンバだが、ドイツではルンバでオフィス内の清掃業務の自動化を実現する試みがなされている。

 ドイツのテクノロジー企業、フラウンホーファーIAO(Fraunhofer IAO)は、マイクロソフト社のウェブメールサービス「Outlook」の予約機能を利用して、アイロボット社の掃除ロボット「ルンバ 650」によるオフィス清掃業務を自動化する計画を実行中であるという。

 清掃予約が入っていない時には、「ルンバ650」は充電ステーションにて待機。予約に基づきリアルタイムに清掃スケジュールを生成・更新しながら、あらかじめ予約された日時が近づくと、バーチャルマップを頼りに指定の部屋へ移動し、黙々と清掃を始める。清掃が完了すると、充電ステーションへ戻っていく。原則として、以上の繰り返しになる。

 万が一他のロボットとのダブルブッキングが発生した場合には、別の時間帯が提示される。さらに、会議室の予約状況を解析し、その後清掃業務へ自動的に移行することも可能だ。

 当初の計画では、ドアの開閉のみ人間による介助が必要であった。現在は「ルンバ650」をENTOURAGE研究プロジェクトに組み込む計画を構想中であり、これによりアマゾンのアレクサやアップルのSiriなどの音声アシスタントに接続可能な環境が生み出される。結果、ドアがスマート化され、人間の介助を一切必要としないオフィスクリーニングの完全自動化が実現されると考えている。

 ルンバは長年部屋のサイズや家具の設置場所などの物理的なビッグデータを蓄積してきた。ついにそのノウハウが活かされる時が来たようだ。

photo by Fraunhofer IAO

大澤法子

記者:大澤法子


翻訳者・ライター。1983年、愛媛県生まれ。文学修士(言語学)。関心分野は認知言語学、言語処理。医療・介護分野におけるコミュニケーションに疑問を抱いており、ヘルスケアメディアを中心に活動中。人間同士のミスコミュニケーションに対するソリューションの担い手として、ロボット・VRなどがどのような役割を果たし得るかを中心に追及。

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