10月1日、米連邦航空局(以下、FAA)のスポークスマンは、「ドローン規制法案(National Drone Reglaition)を米国議会が指定した期限(9月30日)まで策定することができなかった」と発表した。
米議会は、2012年にドローンの商業化と安全な運用を図るため、FAAにドローン規制関連法案の上程を要請した。 FAAは2月に法案の草案を発表したが、確定できず。9月30日までの法案を上程するとしたが、こちらもタイムアップとなった。
FAAが上程を予定していたドローン関連法案は、ドローン規制の例外条項を新設する方向に動いていた。米国は、安全性やプライバシー問題の懸念から、ドローンに対する規制が厳しいことで知られている。これまで、米国でドローンを商業目的で利用するためには25kg以下、150mの高さ以下、時速160km以下、日中のみ運航可能などの規制案を遵守しなければならないという方針が発表されていた。また、ドローンの操縦は必ず免許を必要とし、パイロットが目視できる範囲内で運用すべしとされていた。アマゾンなどが計画している物流におけるドローンの使用は、実質的に許可されないという状況だ。
FAAが今回の法案の上程を先送りした理由は、ドローンの安全性の問題が完全にクリアにされていなかったためだと考えられる。FAAは「安全性を最優先に考える」とし、「法案処理を来年春頃まで先伸ばしすることにした」と伝えている。ドローンには、自律飛行の技術的な不確実性と、バッテリー、電波送受信の問題などに懸念が残っている。加えて、テロや犯罪での利用にも対応する必要があるとの声が多い。
一方、米議会はドローンが持っている経済的な潜在力を考慮し、なるべく速やかに規制緩和を実施すべきという立場である。米議会はドローンの商業化により、10万の雇用が創出され、820億ドル(約10兆円)の経済的効果が発生するものと見積もっている。
世界の航空法のガイドラインとなるFAAの規制案が持ち越され続ければ、他国の規制案にも悪影響が出る可能性がある。加えて、ドローン市場の30%を占めると言われている米国市場での規制がどうなるかによって、国際的なドローン市場の発展の行く末も左右されるかもしれない。
FAAのスポークスマンであるローラ・ブラウン氏は「4500にも及ぶ意見を総合して、規制案を作成しているため、もう少し時間が必要だ」とし「ドローン規制法案の上程が遅れるほど、米国ドローン産業に悪影響があるとFAAも理解している。安全性と商業性の両方を向上させる次元で規制案を上程する」と明らかにしている。
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