顔の情報から政治思想・IQ・犯罪傾向を判別するAIがいずれ登場する...米専門家が警鐘

ロボティア編集部2017年10月15日(日曜日)

人工知能(AI)がもたらす顔認識技術(Facial Recognition Technology)を、将来的に「犯罪予備軍」、「知能指数」、保守主義者なのか進歩主義者なのかなど「思想性」を判別するために使うえるという主張が浮上した。海外各メディアは、「人工知能と結合した顔認識技術は、近い将来、人間の複数の傾向を把握することができるようになるだろう(中略)プライバシーおよび人権侵害など、複数の倫理的な問題が提起される可能性がある」とする、スタンフォード大学・Michelle Kosinski氏の最近の研究成果を引用・報道した。

「人工知能技術と結合した顔認識技術の発展はすぐに、写真一枚で、写真の中の人物が同性愛者かどうかを判別することができるようになる(中略)(ただ)性的指向は、コンピュータアルゴリズムが、顔認識を通じて把握する様々な特徴のひとつに過ぎない」(Kosinski氏)

Kosinski氏は自ら開発した「ゲイダー(gaydar)」と呼ばれるAIアルゴリズムを利用して、デートサイトに掲載された男女の写真を分析。結果、男性同性愛者91%、女性同性愛者83%を正確に判別できたと過去に主張したことがある。

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加えて「人の顔の特徴と政治性向の関係を研究した結果、人間の顔を分析すれば、政治的理念を知ることができるという暫定結論に達した」と説明。以下は、Kosinski氏の主張の要旨となる。

・このような結論は、人の政治的理念が遺伝子または印象の違いをもたらす発展の要素に左右されることを意味する(中略)政治的見解も子孫に継承されることを示している。

・保守政治家たちが進歩的な政治家よりも魅力的な場合が多かった(中略)ハンサムな容姿が成功に有利のようだ。

・極左、もしくは極右的な理念など、極端な政治性向を持った人物を判別することは、中道的な理念を持った人を判別するより容易だ。

・人工知能と顔認識技術を使えば、人間の知能と犯罪性向まで把握することができる。このような技術の発展は、プライバシーの侵害など、様々な複雑な問題を引き起こす可能性があり、これに対応しなければならない。

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なおKosinski氏は、人工知能および顔認識技術で知能を測定できるようになれば、特定の学生が遺伝的に優れた知能を持っていると判別することができるとした上で、「より良い遺伝子を持つ人々が、必ずしもより良い生活をしているとは限らない。したがって、このような技術の発展には社会的準備が必要な時点にある」と主張している。また、「AI技術の発展は、表面的には非常に危険に見えるが、倫理に合わせて適切に使用した場合には、私たちの生活をより良い方向に改善することができる。過度な警戒心を持つべきではない」とした。

例えば、すでに攻撃性向が高い児童を発見した場合、学校の担当教師が特別に管理したり、ナイトクラブへの入場を現場で判断するというような使い方が、Kosinski氏が想定するAIの倫理的活用方法だ。

「多くのデータが確保できれば、サイコパスなのか、もしくは犯罪性向が高いか否かを判別することができるが、その傾向がすぐに実際の犯罪につながるわけではない(中略)倫理的、法的な問題に対する思案が必要だ」(Kosinski氏)

このようなKosinski氏の主張に対して、海外各メディアは「人工知能が人間の犯罪性向を判定するとしたら、結局、機械が人間の生活を決定することになるのではないか」、「裁判所や警察組織のデータベースが歪曲されれば、深刻な人権侵害や社会的混乱が起こる可能性がある」などの懸念を表している。

なかなか空恐ろしい主張だが、Kosinski氏が考える「AI社会」は本当に到来してしまうのだろうか!?

Photo by Stanford University