2021年春の開園を目指し建設が進む「ユニバーサル・スタジオ北京」だが、入場方法について実質的親会社のコムキャストCEOのブライアン・ロバーツ氏はパーク内で顔認証システムを導入することを発表した。
今回、ユニバーサル・スタジオは中国IT最大手のアリババと技術提携を結び、パークへの入場やパーク内での商品購入、荷物ロッカー、飲食の支払いなどについて、来園客が顔認証システムによって決済ができるサービスを提供していくことが明らかになった。アリババは独自の決済サービスで、顔認証決済も可能な支付宝(アリペイ)を提供する。アリペイに顔情報を登録しているユーザーは、手ぶらでパークを訪れることが可能に。世界有数のテーマパークが全面的に顔認証システムを導入するという今回の報道だが、中国国内からはリスクについて不安視する声も寄せられている。中国では先日、顔認証システムの抜け穴を小学生が発見したことが伝えられたからだ。
10月、小学生が顔認証システムを搭載した電子ロッカーから、写真を使って荷物を取り出すことに成功したことが報じられた。地元メディアによると、小学生によって顔認識システムが破られてしまった電子ロッカーは、中国全国に展開する「豊巢スマートロッカー(Shenzhen Hive Box Technology)」で、大手物流5社が共同で出資し誕生したもの。24時間、いつでも顔認識によって利用できるということで確実にシェアを伸ばしていた。
このスマートロッカーは2D顔認識システムで利用客の顔情報を読み取っていたのだが、今回の小学生は親が利用していたスマートロッカーに、親の顔写真をプリントアウトし、ロッカーの解除を試みたところ成功してしまったのだ。今回の事件を受け、スマートロッカーの運営会社は「顔認証システムサービスは現在停止させている。これから対策を考える」と声明を発表している。
ユニバーサル・スタジオ北京で使用される顔認証システムは3D解析による技術を利用するため、不正利用は難しいと報じられている。しかし、顔認証システムが社会にすっかり浸透している中国にとって、今回の事件は改めて中国社会に警鐘を鳴らすこととなったに違いない。
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