バイドゥー(百度)、ディディ ・チューシン(滴滴出行)をはじめとする中国IT企業が、Google、アマゾン、IBM、マイクロソフトなど、米国企業が席捲する人工知能市場に攻勢をしかけている。
海外各メディアは、中国IT企業が人工知能分野に天文学的な資金を注ぎ込み、Googleをはじめとするライバル企業から専門家をスカウトしていると報じた。バイドゥーは2013年、米カリフォルニア州・シリコンバレーに人工知能を研究する「ディープランニング研究所」を設立。Google、アップル、フェイスブックと人工知能の専門家の争奪戦を繰り広げているという。
米国でバイドゥーの人工知能研究所を率いる科学者アンドリュー・ウン(Andrew Ng)氏は、過去にGoogleで人工知能プロジェクトを牽引し、全世界で一日64万人が訪れるオンライン教育サイト「コーセラ(Coursera)」を共同創業したAI専門家である。バイドゥーは彼ら専門家を前面に押し出し、自動走行車も開発中である。
バイドゥーは5年以内に自動走行車の生産することを目標としている。昨年の総売上高の15%に達する15億ドルを、この分野の研究・開発に費やしてきた。 Googleの親会社アルファベットは、同じ期間の売上高の16%である123億ドルをこの分野に割いた。
中国市場からUBERを追い出したディディ ・チューシンも、人工知能を研究する「ディディリサーチセンター」を最近設立している。ディディ ・チューシンは、人工知能技術が車両の派遣システムを最適化し、顧客を最短経路で目的地に運ぶために大きな貢献をすると期待している。同センターでは、数百人の科学者が勤務しているとも伝えられている。
中国の人工知能ベンチャー企業シノベーション・ベンチャーズ(Sinovation Ventures)のカイフ・リー最高経営責任者(CEO)は「中国は人工知能の分野をリードするリーダーになる準備ができた(中略)優れた工学教育の土台を備えており、技術を売る巨大市場も用意されている」と述べた。彼はマイクロソフトおよびGoogle出身だ。
中国企業が人工知能市場で攻勢を強めるのは、7億人に達するインターネットユーザー確保しているからだ。全世界で最も多いユーザー数=もっとも多い情報を意味すると海外メディアは指摘している。カイフ・リーCEOは「人工知能の分野で情報が相手よりも多いということは出発点から異なることを意味する」と評価している。
米国企業に比べれば後発だが、中国企業の成長はあなどれない。IBM、グーグル、アマゾンなど米国企業が世界市場をリードしているが、米マサチューセッツ工科大学(MIT)は、バイドゥーを同分野で世界をリードする企業2位に挙げた。1位はアマゾンだった。
なお、ディディ ・チューシンCEOであるチェン・ウェイ(Cheng Wei)氏は、「Googleは自動走行車技術で世界をリードしている(中略)この技術は自動車のオペレーティングシステムを意味し、私たちはこれらの課題に立ち向かわなければ、今後も米国の技術を使わなければならないだろう(中略)インターネットの半分がコンピュータなどをネットワークに接続する技術だったら、残りの半分は人工知能」と過去にコメントしたことがある。