保険大手BNPが考える保険業界版フィンテックとは

ロボティア編集部2015年10月7日(水曜日)

  デジタル、ビッグデータ、人工知能などの技術発展に歩調を合わせ、先進国の保険企業が続々と「フィンテック(fintech)」の開発に乗り出している。フィンテックとは、financeとtechnologyの合成語で、IT技術を使った新たな金融サービスを指す。

 もともと、金融業界で生まれた造語だが、保険業界にとってもフィンテックは新たな利益を生む源泉になりうる。先に挙げた新技術は、フィンテックの実現を可能にし、保険会社の収入及び支出を合理化、飽和状態した業界のすそ野を広げる必要不可欠なツールとして認識されはじめている。

 例えば、フランスにあるBNPパリバカーディフ生命保険本社でデジタル部門の最高責任者を務めるグレゴリー・デフォッス(grégory desfosses)氏は、自社の次世代保険商品について、次のように例示する。

 例えば、病弱な保険加入者の家にロボットを送り日常をサポートすることで保険事故を減らし、万が一の緊急事態には保険会社がすぐに対応できるようにする。大きく広がる事故を防ぐことは、加入者と保険会社の両方にとって「ウィン―ウィン」である。

 また、3Dプリンタなどの技術を採用することも考えているそうだ。デフォッス氏は、「自動車保険の加入者が車両故障のトラブルに巻き込まれた際には、交換用の部品を3Dプリンタで製作して、保険会社が持っていくようにする」と、将来の用途について言及している。保険会社が単純な保険金の支払いという業務だけではなく、大規模なカスタマーサービスにまで領域を広げようというものだ。

 実際、このようないわゆる“次世代保険商品”は、世界各国の保険会社で現実のものとなりつつある。南アフリカのディスカバリーライフは、健康習慣チェックシステムを導入し、顧客の生活習慣をリアルタイムで分析、審査、保険料策定などに活用している。結果、契約解約率と死亡率がそれぞれ52%、34%減少したという。フランス・アクサなど米・欧州の保険会社は、無謀運転、主な利用道路の状況など運転者の普段の運転状況を無線通信でリアルタイムで収集し、保険料策定に反映しているという。

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