米大手IT企業を中心に、人工知能(AI)専門家の争奪戦が激しさを増している。AI専門家の中でも特に、「ディープラーニング」(深層学習)たちは引く手あまたの状況で、その年棒もウナギ登りだという。日本経済新聞は5日、米求人サイト・インディードの資料を引用し、AIの専門家の平均年俸が約20万ドル(約2400万円)に達すると報じた。これは、全米平均より40%も高い数字だそうだ。
同日10月5日には、米アップル社がAIスタートアップ・パーセプチオ(Perceptio)を買収したと発表した。同時にアップルは、AI専門家であるニコラス・ピント氏や、マサチューセッツ工科大学(MIT)の博士らを迎え入れたとしている。アップルは10月3日にも音声認識人工知能Sirの強化のために、英ケンブリッジ大学のAI専門家が創業した企業・ボーカルIQを買収したと発表したばかりだ。
グーグルも今年、多数のロボット会社を買収している。9月には、米国航空宇宙局(NASA)と共同で設立した量子人工知能研究所を経由し、カナダの量子コンピュータベンチャー企業「ディウェーブ・システムズ(D-Wave Systems)」との契約を7年延長している。今後、新型量子コンピュータを導入しAI技術の強化に乗り出す構えだ。
米半導体大手のクアルコムも、昨年AIを使った画像認識技術を開発したオランダのユービジョンテクノロジーを買収した。IBMも、人工知能のプラットフォーム「ワトソン」を前面に押し出し、モントリオール大学のAI研究者を大挙して迎え入れするなど人材確保に努めている。
アジアでは中国検索最大手・バイドゥ(百度)やテンセント(騰訊控股)、トヨタ自動車、パナソニック、ファナックなど各企業がAI技術の商用利用を目指し、関連企業および技術者確保に乗り出しはじめている。