サムスン電子がロボットの商用化に本格的に乗り出そうとしている。業界では、ロボットを「第2のギャラクシー」に育てるつもりではないかとの観測が出始めている。
サムスン電子は最近、無線事業部の傘下に「ロボットハードウェア(HW)部門」を新設した。サムスン電子はロボットを長期研究課題として選定し、総合技術院とDMC研究所などR&D組織で関連技術を研究してきた。グローバルイノベーション室で、自社の製造工場を効率化するための産業用ロボットを製作したことは確認されているが、事業部門でロボット専門組織を設置したのは今回が初めてとなる。つまり、製品の発売を念頭に置いているものと分析される。特にギャラクシーSなどのスマートフォンを担当する無線事業部が、新組織を運営するという点も注目される。ロボットを、スマートフォン以降の次世代プラットフォームとして考えているとも解釈できる。
サムスン電子は、アップルが「iPhone」を発売して以来、ファストフォロー戦略でギャラクシーシリーズを発売。世界最大のスマートフォンメーカーにのし上がった。しかし、スマートフォン市場の成長が鈍化しているなか、中国企業が価格競争力を武器に急速に成長。苦しい立場に置かれている。
今後、サムスン電子はR&D組織で研究してきたロボット分野に需要があると判断し、本格的な製品化を進めるものと思われる。スマートフォンは、ひとりあたり一台以上販売することができるという特徴のため、ITおよび家電業界で最も市場性のある製品として選ばれてきた。ロボットも、スマートフォンと同様に、家庭内洗浄用、料理用などの製品が発売される可能性があり、各種の店舗や公共機関、自治体などでも使用されていく展望がある。市場調査会社IDCによると、2020年の世界のロボット市場規模1880億ドルとされている。
ロボットの開発には、人工知能(AI)技術、IoT通信技術、位置情報技術など先端技術が必要となる。サムスン電子はすでに自社開発したAIアシスタント「ビックスビー」、IoTプラットフォーム「スマートシングス」などを、2020年までにすべてのスマート機器に連携していくという方針をCES 2018で明かした。また、サムスン電子は昨年、オーディオ機器メーカー・ハーマンを約9000億円で買収し、自律走行技術や位置情報技術も保有している。
サムスン電子の関係者は、「ロボットは主要な基盤技術のひとつであるため、様々な組織で以前から研究をしてきた」とし「現在、部門内でロボットに興味がある人を集めて組織を運営している」と説明している。
一方、LG電子も、H&A事業本部にてロボット組織を運営。ロボットの商用化を進めている。チョ・ソンジンLG電子の代表は10日、米ラスベガスコンベンションセンター(LVCC)で開かれた記者懇談会で「2〜3年以内にロボット事業が収益事業になる」とし「買収合併、資本参加などを通じて技術力も継続的に確保している」と述べている。LG電子は昨年に案内・清掃用ロボットを仁川国際空港に配置し1年間の試験運用を進めてきた。平昌冬季オリンピックでもそれらを活用する計画だ。