ロボットベンチャー・SEQSENSEに聞く「日本の警備用ロボット」の未来

-実用化まで着々と進んでいるとの印象を受けたのですが、今後の目標をお聞かせください。

中村:東京五輪が開催される頃には、各施設で警備用ロボットが巡回していることに違和感がない世界をつくりたい。五輪はあくまでもひとつの通過点に過ぎません。ただ、日本の警備業が盛り上がったのは1964年の東京五輪の時期。1962年にセコムが創立され、五輪で警備業が大きく認知されました。あれから約半世紀が経ちますが、次回の東京五輪は警備業のターニングポイントになる可能性を秘めています。つまり、これまで人海戦術でやってきたスタイルが、かなり機械化・自動化されていく。ドローンの発展もしかり、カメラなども高性能になっていますし、ある意味、警備業が次のステージに生まれ変わるきっかけになると考えています。

佐伯:東京五輪の話がでたので、ひとつだけ補足させてください。エンジニアサイドからすると、東京五輪は、「五輪後」を見据えてロボットの機能をブラッシュアップするよい機会だと考えています。我々が開発しているような環境認識ロボットにとっては、よい経験になる可能性があります。ほんの一例では、「不審検知」のレベルを上げるためには、国やカルチャーごとのデータを詳細に集める必要がある。理由は、文化や国ごとに「普通の動き」と「怪しい動き」が異なるからです。五輪には世界各国からさまざまな文化的背景を持った人々が集まるので、我々が海外に行ってデータを集めてこなくともロボットに学習させることができます。五輪後の社会を守るために、どうAIを育てていくか。そこは、非常に重要なポイントですし、そのデータをしっかり取るという技術においては我々の警備用ロボットは強みを持っています。

中村:冒頭で、警備業では圧倒的に人手が不足しているとお伝えしましたが、巷で語られるようにロボットは簡単に人間を代替することはできません。ドアを開けて、階段を自由自在にのぼるようなロボットは、100年後に実現するかどうかも不透明です。我々が目指すのは、ロボットがロボットとして動き、人間を支援する役割を担うというものです。人間が同じところをぐるぐると巡回する作業は、ロボットの方がミスも少なく適しています。そうやってロボットが埋めた人間の労力を、他の高度な作業に振ってもらうというのが我々の狙い。“人間がやらなくてよい仕事を担うが、その精度が人間より高い”。そんな警備用ロボットを実用化していくのが、SEQSENSEの当面の目標です。

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。

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