吉野家が食器洗浄ロボット「CORO」導入...78%工数削減目指す

ロボティア編集部2017年3月28日(火曜日)

 人と共に働く協働ロボット(co-bot=コボット、もしくはコ・ロボット)である「CORO(コロ)」 を開発・製造・販売するライフロボティクス株式会社が、吉野家店舗における食器洗浄工程に同社製品を導入。約 78%の工数削減に向けた取り組みを行っているが、今回、その詳細が公表された。同取り組みは、経済産業省「平成28年度ロボット導入実証事業」に採択された案件でもある。

 従業員はシンク下に設置された回転ブラシで食器を軽く洗浄し、食器をコンベア上に伏せて置く。すると食器はコンベア上を流れ、食器洗浄機で洗浄される。COROは、食器洗浄機から出てきた濡れた状態の食器を識別し、種類ごとに積み重ねる。

 外食産業は、ロボット導入による業務効率化の余地が大きいとされる。前述の吉野家では、1 店舗 1 日あたり約 1300 個の食器を洗浄している。食器洗浄作業における食器の浸漬(しんせき)・洗浄から洗浄後の格納作業は、従業員の腰や肩への負担、食器の破損による手指の怪我、手荒れなど大きな負担を強いる作業となっている。また、店舗のバックヤードは狭い。そのため、狭小空間でも協働可能なロボットとしてCOROが採用された経緯がある。

 ライフロボティクス側は、「今回のCORO導入は、作業者の作業負荷の軽減、店舗の生産性向上だけでなく、お客様との接客時間増加による顧客満足向上の効果も期待できる」とコメント。加えて「食器洗浄工程へのCORO導入により、食器洗浄作業の労働時間は 2.3 時間から 1.8 時間に短縮。更なる取り組みにより0.5 時間まで、約 78%の工数削減を目指しています。また食器洗浄工程以外の作業も自動化することで、更なる生産性向上を支援します」と説明している。なお、COROの作業工程は以下の通りとなる。

【前工程とコンベアへの配置】
従業員がホールから回収した食器を下向きにして、食器の内側を回転ブラシに 2 秒程度接触させ、残飯処理と簡単な事前すすぎを行う。その後、食器の内側を下向きにしたまま、コンベアの上に置く。

【食洗機による食器洗浄工程】
コンベアで運ばれる食器は、食器洗浄機内を 5 秒程度で通過することで洗浄される。

【CORO による仕分け工程】
食器洗浄機から出てきた食器は濡れたまま、カメラで認識できる範囲までコンベアで搬送される。上部に設置されたカメラにより撮影され、画像処理により大きさや形を認識し、食器の種別を判別。判別された食器は、濡れたまま CORO により保持された後、食器格納場所まで搬送され、種類別に積み重ねられる。ある程度食器が積み重ねられると、従業員に通知する。なお万が一、従業員が CORO の近くに来ると、センサーが反応。CORO が一時停止し、従業員が離れると元の動作に復帰する仕組みとなっている。

(写真/ライフロボティクス提供)