新型コロナウィルスに対応するため、米不動産仲介業者がロボットやデジタル技術の活用に注力している。
最近、米国では感染拡大の影響でオープンハウスが中断されるなど、不動産仲介業者の直接販売のルートが制限されている。住宅を販売に出している所有者も、購入者が訪れて家を見て回ることを望まない。一部の販売者は住宅販売を見合わせたり、市場から完全に撤退している。
そうした状況のなか、一部の不動産業者はロボットを活用。購入者が実際に物件に訪れなくとも内見できる方法を考案・導入している。例えば、米ウィスコンシン州のとある物件では、カメラを搭載したロボットが稼働。顧客は、問い合わせからわずか数秒後には希望する家を見て回ることができるようになった。
同サービスを提供する3Dリアリティ社の関係者は、物理的に不動産を訪れる必要がなく、購入者が地球の反対側にいたとしても仲介が可能だとし説明している。同州の不動産仲介業者らは、今後数ヵ月内にロボット50台を追加で投入する計画だとしている。不動産スタートアップであるZenplaceなども、ユーザーがリモートで物件を内見できるバーチャルツアー、ロボットツアーを提供している。
なおオンライン不動産データベースを運営するZillowは、3月第1週の3Dホームツアー(販売者が物件を紹介するために室内写真を3D化するツール)の作成件数が、2月の平均作成件数より191%増加したと発表している。不動産仲介業のRedfinも、3月中旬に仲介業者によるビデオホームツアーのリクエスト件数が2週間で494%増となり、ビデオチャットツアーの申請も一気に増加したとしている。
その他にも、スマートフォンと有効IDを組み合わせたスマートロックを利用し、訪問者が単独で物件を訪問する「セルフツアー」も増加中だという。スマートロックを提供するソフトウェア企業・Rentlyは、2020年3月のセルフツアーは19万7964件で、例年より30%増加しているとしている。
Photo by zenplace