原爆より危険!? キラーロボット開発にホーキング博士らが警鐘

ロボティア編集部2015年9月7日(月曜日)

技術の発展は、常に規制の先を行く。戦場で敵を殺傷するためのキラーロボット技術もまた同様である。ロボットが人に害を与えるのを防ぐためのいわゆる「ロボット倫理」はまだ議論されて間もないが、キラーロボットはすでに戦場のいたるところに配置されはじめている。国連人権委員会は2013年の報告書で、キラーロボットが米国・イスラエル・英国・日本、韓国などで開発されており、実際の戦闘に投入されていると述べた。

米国のロボット企業「ボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)」は先月、身長1m88㎝、体重150㎏のヒューマノイドロボット「アトラス」を公開した。日本では、ボストン・ダイナミクス社の名は最先端ロボットの代名詞であるが、欧米では軍用ロボットの開発拠点として知られている。 2年前まで、平地でのろのろと歩くのがやっとだったボストン・ダイナミクス製のキラーロボットが、現在では銃やミサイルなど各種武器を装着し、山道を駆け上がることができるレベルまで発展した。イスラエルは、レーダー信号で敵を感知し、先制攻撃可能なドローン「ハーピー(Harpy)」(イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ社-IAI)を配置し、パレスチナ軍との戦闘に活用している。イスラエルの戦闘用ドローンは性能が高く、外国からの購入も少なくない。その性能については海外メディアを中心に広く報じられている。

また韓国が最近、38度線の休戦ライン一帯に配置した知能型境界・攻撃システム「SGR-1」も代表的なキラーロボットだ。韓国サムスンのグループ会社・サムスンテックウィン(現・ハンファテックウィン)と高麗大学が共同開発したものである。SGR-1は、人間の兵士の代わりに歩哨に立つ。ロボットが許可しない地域に人が現れると、自動で銃撃を加える機能がある。すでに非武装地帯でのテストで、その能力は実証済みとなった。半径4kmの敵を認知し、2kmまで追撃が可能となっている。ただし、現状では射撃判断はSGR-1が行わず、人間の兵士が行うということになっている。SGR-1が対象を補足し、人間の兵士に判断を仰ぐ。

ディープラーニングを通じたキラーロボットの実戦配備が現実化すると、国際社会ではこれを禁止すべきだという声が高まりはじめている。国連軍縮問題高等代表アンジェラ・ケイン氏は先月、「キラーロボットの開発を法律で禁止しなければならない」と促した。 7月、電気自動車メーカー・テスラ(tesla motors)の創業者イーロン・マスク(Elon Musk)氏とスティーブン・ホーキング博士など、科学技術分野の専門家や哲学者約1000人が、 「人工知能を持つキラーロボットは、原子爆弾よりも危険」と、その開発に警鐘を鳴らしている。