ベンチャー企業フェッチ・ロボティクス(Fetch Robotics)の代表メロニー・ワイズ氏は、価格負担が少なく、倉庫管理を可能にするロボットの開発に邁進している。現在、コンピュータ、センサー、人工知能の発達により、ワイズ氏が夢想しているロボット開発の実現性は日毎に高まっているという。
フェッチ・ロボティクスは現在、倉庫やオンラインショッピングモール注文処理センターの分野に注目している。同分野は、高い離職率、労働力不足、従業員の睡眠不足・健康管理、また従業員による商品の盗難などの問題に直面している。
比較的、大規模な配送センターではロボットの導入が進んでいるが、ワイズ氏らフェッチ・ロボティクスが狙うのはより小さな現場だ。中小企業には、自動化に対する潜在的な需要があると同社では考えている。
米国サンノゼにあるフェッチ・ロボティクス本社にはデモ用の倉庫がある。倉庫では、膝の高さのシリンダー形ローリングロボット「フレイト(Freight)」が、スタッフの後を追いながら作業をサポートする。人間がフレイトに荷物を渡すと出荷エリアに運んでいく。フレイトは、人間の作業を手伝ういわゆる「フォロー・ピック(Follow pick)」タスクを行うロボットで、ワイズ氏らは倉庫業務や商品ピックアップ作業の効率化や自動化を主な目的として開発を続けている。
一方、ロボット「フェッチ」は、単なるサポートの役割に限定されず、人間が行っていた作業をこなす。フェッチにはデプスカメラ(depth camera)が搭載されており、棚の物を認識。フレイトに荷物を渡す役割を果たす。
フェッチ・ロボティクス社のロボットたちは、特定のスタッフに伴走して物を運べるように、人の足を認識できる。ラジオビーコンや、床のバーコードに依存して歩き回るロボットとは異なり、3Dレーザースキャナで周辺を探索し障害物を避ける。
現在、フェッチ・ロボティクス社のロボットについては正確な価格が公表されていないが、ワイズ氏によると人間の従業員を雇い入れるよりも廉価で、数万ドル程度だと話している。製作されたロボット40台が試験的に顧客に販売されており、ロボットの作業が効率的だと判断できれば販売数量を増やす計画である。