【映像マニュアル制作日記②】出荷前検品マニュアルとロボット三原則

ロボティア編集部2022年8月23日(火曜日)

こんにちは、Agathonです!映像マニュアル作成日記の第二弾です。今回は「ロボット出荷前検品マニュアル」になります。

このマニュアルは配送ロボットが、お店で走るようになる前の検品の様子を映像にしております。サービスロボットはこの1年で急激に日本に普及した為、検品のやり方なども決められたスタンダードなどはまだ存在していません。クライアント様によると、このマニュアルが出来る前はスタッフ達が各自のやり方で検品することが多く、映像マニュアルが出来たことにより、検品のチェック漏れがなくなり、作業の標準化が進んだとの事です。良かったですね。

「たかが検品だろ?」「ダンボールから出してるだけじゃん」と思ったそこのあなた。出荷前検品を侮ってはいけません。第一弾の安全機構にもつながる話ですが、しっかりとした検品マニュアルに基づいた検品をされていないロボットの危険性は制御出来ないのです。制御できないロボットは危険を秘めています。出荷前検品は安全対策の基礎の基礎だといえます。

ロボットの危険性を危惧したSF作家アイザック・アシモフの「ロボット三原則」というものがあります。シンギュラリティ(ロボットが人間より賢くなった時の臨界点)が起きたとしても、ロボットは人間を守るべきモノと位置付ける三ヶ条です。

第1条:ロボットは人間に危害を与えてはならない。その危険を看過することによって人間に危害を及ぼしてはならない。
第2条:ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が第1条に反する場合はこの限りでない。
第3条:ロボットは前掲第1条及び第2条に反する恐れがない限り、自己を守らなければならない。

前提としてソフトウェア、ハードウェアの制御の最終決定を人間側が抑えていないと人間側の安全性は担保されないと私は考えています。また仮にハードウェア、ソフトウェアのどちらの制御も人間が握っていたとしても特異的なロボットが誕生してしまう可能性は常にあります。現にSF作品の多くはこの手の特異なロボットによって物語が成り立ちます。ウィル・スミス主演の映画「I,Robot」も特異的なロボット「サニー」によって物語が展開していきますね。

そういえば「鉄腕アトム」の世界にも「ロボット三原則」に近い縛りは存在しています。「鉄腕アトム」の世界の中ではこれを「ロボット法」と呼び、「ロボットは人を傷つけてはいけない」「ロボットは勝手に国を出てはいけない」「ロボットは作った人物を父と呼ばなければいけない」などがあります。内容に多少の差異はあるにしろ「ロボット三原則」を連想してしまいます。しかし手塚治虫本人は「ロボット三原則」と別物と公言していたとされています。

参考「虫ん坊コラム 第21回手塚マンガのロボット年代記後編

コロナの後押しもあり、各国のAIやロボットの普及は急激に進みました。この急激な普及の中でいくらハードウェアやソフトウェアの制御をちゃんとしても防げない事態はあるかもしれません。どうしても防げない事態がある半面、細かい検査や検品で洗い出せる課題や防げる問題があるのではないかと私は考えています。そんな思いで作成した「ロボット出荷前検品マニュアル」。みなさまのご参考になれば嬉しいです。