米政府が世界初認可、ヤマハ発動機の無人機(ドローン)開発秘話

米政府が世界初認可、ヤマハ発動機の無人機(ドローン)開発秘話

Written by 河鐘基

Posted date:2015.11.19

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ヤマハ発動機・坂本修氏

 取材場所となったのは、静岡県磐田市にあるヤマハ・コミュニケーションプラザ。ちなみに、ヤマハでは自社で開発した機体については、ドローンという呼称では呼んでおらず、産業用無人ヘリコプターという名称で統一している。

「最近、ドローン関連の取材で着ていただくことが増えて非常にありがたいんですが……。なにせドローンという言葉は軍用標的機のイメージが強いので」

 ヤマハ発動機UMS事業推進部開発部長と、日本産業用無人航空機協会理事を兼任する坂本修氏は、取材の冒頭で定義の違いについて説明してくれた。坂本氏は小型無人機開発に長らく尽力してきたエキスパートである。

「弊社製品とドローンとの違いを説明するのであれば、我々が開発しているのはシングルローター式だということですね。シングルローターヘリを開発するためには、飛ぶ原理や機体全体のことを理解する必要がある。例えば、航空力学とか機械力学とかですね。比べて、ドローンやマルチコプターは、モーターやプロペラ、制御ソフトさえあれば、飛行に関する知識がかなり少なくても飛ばすことができます」

ヤマハ発動機農業用無人小型ヘリ「フェーザー」
ヤマハ発動機農業用無人小型ヘリ「フェーザー」

 また、ヤマハ発動機が開発しているシングルローター無人機は、一般のドローンに比べてサイズが大きい。フェーザーという機体は全長が3.6メートルで、積載重量は30㎏。連続飛行時間は1時間。動力はガソリンエンジンだ。

「ドローンのように電動だと、さすがにそこまでは難しい」

 なお、ドローンのもっとも大きな特徴のひとつは自律飛行だと言われているが、ヤマハのシングルローターヘリも自律飛行が可能な段階にあるという。製品の差を一通り説明してもらった後、早速本題に入る。ヤマハ発動機は、なぜ無人飛行の分野に進出したのだろうか。坂本氏は言う。

「もともと、この農薬散布用無人機の開発は、1980年に農林水産省が打ち出した政府のプロジェクトだったんですよ。当時、有人ヘリコプターで農薬散布をしていたのですが、ちょうど減反政策や市街地の拡大していた時期でした。いずれ有人ヘリは使えなくなるだろうということで、小型無人機開発の議論が始まったんです」

 また当時の日本では少子化と高齢化、若者の農業離れによる過疎化が問題として浮上しつつあった。政府の立場からすると、農作業や米作りに支障が出ることは避けたい。そこで、外郭団体である農林水産航空協会に研究助成金を出して、有人航空機の補完用として、農薬散布用の無人航空機開発に乗り出したというわけである。

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