米政府が世界初認可、ヤマハ発動機の無人機(ドローン)開発秘話

空から農業を変えるヤマハ発動機のドローン
photo by youtube(ヤマハ発動機公式チャンネル)

 当初、開発の先陣を切っていたのは神戸機工。二重反転式ヘリが仕様として策定され、研究開発がはじまった。が、目に見える成果を得ることができず。その後、ヤマハが政府に開発委託を受け開発に着手したそうだ。ヤマハ発動機は、1987年に世界初の産業用無人ヘリ「R50」の開発に成功し、翌年1988年から本格的に販売を開始している。

「展示してあったフェーザーをご覧になりましたか?デザインがバイクみたいですよね。ヤマハで作った無人機がなぜああいうデザインかというと、新しく農業を担う若者に誇りを持って欲しかったからなんです。最新技術を駆使した無人飛行機を飛ばして農作業をする。その飛んでいる機体もかっこいいとなれば、農業のイメージも変わると考えました」

 坂本氏の話を非常に聞いていて、非常に興味深かった点がふたつある。ひとつは、当時の国際社会では、日本政府のように農業に無人機を導入しようとした例が見当たらなかったこと。そしてもうひとつが、日本国内において、産業用無人機の需要がなかったという点である。

ヤマハ海外での取り組み
Photo by 国土交通省HP

「販売当初はまったく需要がありませんでした(笑)。それにはいくつか理由がある。そもそも、農業分野はリスクヘッジに敏感です。なにせ、失敗すると食べる物ができなくなるわけですから。また農薬散布となると、防除効果や残留農薬の影響が消費者に直結する。無人機が食の安全を確保できるかどうか、業界が非常に懐疑的だったんですね。現在、ドローンの安全性が問われていますが、農薬散布用無人機の分野では35年前から、すでにその議論がはじまっていた」

 例えば、農薬散布用無人機を実用化するとなると、少なくとも地上機で散布したものと同等の防除効果が得られなければならない。また、残留農薬の問題があるため、農薬と作物、機体の組み合わせに不都合がないか徹底的に調べる。この事情はどの国でもほとんど同じなのだが、日本の場合特に厳しいという。ひとつの農薬につき、最低2年くらいかけてテストが行われるそうだ。

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。