じっけん農場「あさみえん」を経営している浅見学です。ゼロベースで様々な手法を試す事で、無肥料で無農薬な野菜を作るファームを目指しています。本日はノーガード大根の実験レポートをお届けします。
大根をノーガードで育てたい
「ノーガード」とはいいますが、ポケモンの話でも、ボクシングの話でもありません。大根の話です。テーマはずばり、「農薬や防虫ネット等を一切使わずに大根は育てられるのか?」。2022年9~10月にかけてノーガード大根の生育実験を行いました。今回はその実験結果および考察です。
使用した種は「大蔵大根」と「三浦大根」。品種によって畑に合う合わないがあるので、二種類用意しました。うちの畑では全ての作物をノーガードで育てたいと思っています。ノーガードとは人間が余計な手出しをしないこと。殺虫剤や土壌消毒はもちろん、できれば防虫ネットの類も使用せず、植物が本来持っている力だけで育てたい。こう考えています。
ですので、今回の大根たちもノーガードで育成しようと考えていました。ですがこの三年間、そのように育てようとして何度も失敗した経験があります。また、この少し前に育てていた葉物野菜たちは、次々と虫に食われていました。
結果はどうなったか?
こうなると、さすがにノーガードでは厳しいかもしれません。そこでもしもの時の保険として、大蔵大根と三浦大根、それぞれ1/4はノーガードで、3/4は防虫ネットをかけて栽培することにしました。種まき時期は以下の通りです。
■ 大蔵大根 種まき時期:9月8~14日
■ 三浦大根 種まき時期:9月21~22日
大根の種まきは9月が一般的とされています。大蔵大根は9月上旬に、三浦大根は9月下旬にまきました。
さて、その結果は?
■ 大蔵大根 ノーガード 全滅 防虫ネット 生存
■ 三浦大根 ノーガード 生存 防虫ネット 生存
結果は衝撃的でした。なんとノーガードで生き残った種がある!
ノーガードで育てていた大蔵大根は想定通りの全滅でした。芽は出てきたのですが、その芽を虫たち(主にバッタ)に食われてしまったのです。作物がある程度大きくなっていれば、多少葉を食われたくらいでは問題ないのですが、まだ芽が幼いうちに食われてしまうと、それが致命傷となって枯れてしまいます。他方、防虫ネットを被せて育てたものは無事成長してくれました。防虫ネットが物理的に虫の侵攻を阻んでくれたようです。
生存した三浦大根の不思議
そして今回最も不思議だったのは、ノーガードで育てていた三浦大根です。彼らは防虫ネットがなかったにもかかわらず、ほとんど虫に食われず育ちました。やはり、何らかの条件のもとではノーガード大根を育てる事は可能なのです。それにしてもなぜ三浦大根だけがノーガードで生き残ったのでしょう?次回の記事はその理由を検証して行きたいと思います。