ロボットの音声収録の苦労話は他にもつきない。以前、クレヨンしんちゃんの映画『クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』のプロモーションの一環として、Pudu社の猫型ロボットBellabotに「野原しんのすけ」のオフィシャルなボイスを吹き込んだ時には、別の苦労があった。
著作権の問題を解決するのはもちろん、Pudu社の技術陣の協力を得て、Bellabotの声をしんちゃんの声に置き換えていかなければならない。当時のBellabotは耳をなでると「耳、こそばゆいにゃん!」と叫ぶ設定であったが、しんちゃんBellabotは耳をなでると突然「オラは誰の子?忍者の子?」と叫びだす。アリオのショッピングモール内を巡回する時は「今度のゴールデンウィークはおらと一緒に、映画館でゲラゲラ」とあの声で話すのだが、ご存知の通りBellabotは表情がある為、どの表情にあわせてどのような台詞をいうべきかの設定が大変難しかった。また真面目な中国人技術者の皆さんに、クレヨンしんちゃんの台詞の意味を説明し、子どもたちの笑いのツボを説明するのもとても難しかった。
[実際にアリオ内を巡回するクレヨンしんちゃん猫ロボ]
ニンニン! pic.twitter.com/3mcsm2ynTW
— Benny (@Benny_lai2000) April 14, 2022
Bellabotにクレヨンしんちゃんの声を搭載して走らせる試みもなかなかハードであるが、こちらはプロモーション目的のロボットである為、とりあえずアリオ店内を巡回させておくだけのミッションだった。しかし次に紹介するイオンモール白山の事例では、ロボットはエレベータにのり、複数のテナントに資材を配送するという困難なミッションと担っており、日本語音声収録にもとめられるクオリティも極めて高かった。
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