セコム、世界に先駆けるドローン警備サービス誕生の裏側

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 セコム社のドローンは、不審者や不審車両を発見すると撮影を開始する。この時、迎撃されないように対象とは一定の距離を取り続ける。追い払らおうとしたり、捕まえようとしても、逃げ回ってまとわりつく鳥や虫。表現が適切でないかもしれないが、おおよそそのような機動性を持ったドローンを想像してもらえるとよいかもしれない。

 そうして得た顔や車両ナンバーなどの情報を、リアルタイムでセコムのコントロールルームに送信するという寸法だ。なお、LEDライトも搭載しているため、夜間や暗い場所でも撮影が可能だという。なお法律上の問題があるため、飛行また警備範囲はクライアントの敷地内と限定しているものの、撮影した対象の逃走経路を警察に提供するなど、外部と連携を取ることも可能となっている。

 警備・監視用ドローン技術の最先端を行く企業に、直接話を聞いてみたい――。

 そうして訪れることになったのが、東京都三鷹市にあるセコムIS研究所だった。IS研究所は、セコム社の最新技術情報収集や技術戦略立案、新サービスを想定した技術研究、商品の基盤技術の開発などを手掛ける場所である。言わば、セコム社の頭脳といったところだろうか。今回、世間に公開された警備用ドローンの研究・開発も、このIS研究所を中心に進められてきたという。

「イラッシャイマセ、ハ・ジョン・ギ・サマ」

 研究所の分厚い鉄の扉を空けようとしたところ、スピーカーから発せられた機械音が訪問を歓迎してくれた。案内してくれた研究所の担当者によると、扉周辺には画像認識センサーがあり、顔を検知して自動的に挨拶をしてくれるのだそうだ。この認識技術が、警備用ドローンにも採用されているという。もちろん、他の社員が通過する際には、各社員の名前が呼ばれるのは言うまでもない。少し驚いた表情であたりを見回していると、研究スペースの一角にある会議室の方から声が聞こえてきた。

「こんにちは!」

 今度は人間の男性の声だ。声の主はセコム社で常務執行役員兼IS研究所の所長を務める小松崎常夫氏。取材当日、警備用ドローンについて話を聞かせてくれることになっている研究責任者である。

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。