セコム、世界に先駆けるドローン警備サービス誕生の裏側

空からの写真
photo by アジアンプロパティ(via AC photo)

「セコムのグループ会社には、航空測量事業を行っているパスコという会社があります。パスコは1999年にセコムグループに入りました。その直後、私はパスコに出向して、常務取締役として技術部門など担当することになりました。そして、『空からものを見る』という点について、多くのことを気づかされることになります」

 小松崎所長は、パスコに勤務していた当時、防災や行政、航空測量や空間技術情報など様々な業務に従事したという。またある時は、某省庁の研究プロジェクトに参与しながら、広範囲の敷地に対して空から分析を行う事業も経験したそうだ。そしてそのような経験は、非常に多くの感動と、気付きをもたらしたと回想する。

「上空から撮影をしたり、いろんな機材を使ってセンシング、スキャンすると、地上にいた時以上に多くのことが分かる。何か物事を大局的に判断する際に、これほど有用なものはないなというのが、私の率直な感想でした。その後セコムに戻り、6年前から研究所の所長をやっているのですが、自社サービスになんとか空からの視点を導入できないかとモヤモヤモヤとしていた訳です」

 そんな、セコム社の前に登場したのがドローンだった。

「空から状況を把握したり、異常を発見したりするのが有効であるというのは、グループ会社であるパスコが証明していましたし、すでに事業として提供していた。ただそれは、宇宙衛星やセスナから見た、かなり高い高度からの視点だったのです。正直、そこまで遠くから見る必要はなかった。そこに、ちょうどよい技術が出てきたのです」

 実はセコムは、無人小型飛行機を使った防災の仕組みをかなり昔から構想していたそうだ。20年以上前には、某大手の高価なラジコンヘリを購入し研究をしたこともあったという。セコム社には常にサービスを更新していくため現状打破というモットーがあるため、究所でもその時々の最新技術をサービスに適用できないか日夜アンテナを張っているという。

「ドローンがあったから使おうという発想ではなく、求めていたサービスにドローンが適していたからこそ研究をはじめ、採用を決めたというのが正しい答えになると思います」

 セコム社の警備用ドローンについては、5月中旬の時点で100件以上の問い合わせがあったそうで、その後も順調に数が増えていると言う。外資系巨大IT企業が知名度を上げていることもあってか、ドローンについては海外の動向が取り上げられることが多い。ただ、彼らよりも先に実用化に向けて研究・開発を重ねてきた日本の企業は少なくない。セコム社は、間違いなくそんな企業のうちのひとつである。

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。