セコム、世界に先駆けるドローン警備サービス誕生の裏側

ドローン警備
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「ドローンやロボットは総合技術。墜落せずに飛ぶということも大切な技術ではありますが、それ以外にもクリアすべき点が多い。セコムには、ドローンの研究開発以前から蓄積された技術基盤がたくさんある。どういう問題が起きるか、またその問題をどのように防げばよいかについても、ノウハウが蓄積されている。そういうアドバンテージがあったからこそ、警備用ドローンを商品化できたと自負しています」

 そうは言っても、やはりドローンの普及が進めば、様々なトラブルが予見される。小型化や高性能化がすすめば、活用の幅が広くなる分、予想もできなかったようなリスクが増えるのではないか。そう考えあぐねていた私に、小松崎所長は“技術屋”としての信条を明かしてくれた。

「新しいテクノロジーには、メリットとデメリットの二面性がある。例えばオレオレ詐欺ですが、携帯電話とATMという、私たちの生活に欠かせないテクノロジーがあるからこそ起きる犯罪なのです。実際、それを道徳や法律の問題として片付けるのは簡単です。ですが、技術屋としてはそれだけではいけない。暗号技術や、サイバーセキュリティー技術など、犯罪が起こさせなくさせる技術を磨かなければならないと思います。そのように、道具を悪い方向に使えないように作るとか、悪い方に使われた時にそれを防ぐ仕組みを作るというのは、セコムにとっても重要な取り組みです」

 ドローンを使った犯罪を防ぐために、技術的に常にリードを保ち切磋琢磨していく。犯罪にもっとも近い場所に身を置いてきたセコム社だからこそ、ドローンの犯罪利用のリスクについては一層敏感なのかもしれない。

 次いで小松崎所長は、岐路にある日本のドローン産業の行方について考えを聞かせてくれた。世界的にはビジネスに火が付き始めているが、日本のトップランナーの意見はどうか。

「ドローンの規制問題は日本単独で考えられないテーマでもある。米、欧州など含め、世界規模で前に進んで行くことは間違いないでしょう。懸念しなければならないのは、日本がガラパゴス化すること。世界で可能なことが、日本の規制が厳しすぎてできないとなると、産業自体が健全に発展できない。日本の社会をより豊かに、より安全にできないかという目線で考えている企業が中心になって、技術は技術で客観的に高めていきつつ、悪用や犯罪は徹底的に取り締まらなければならないと思います」

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。