【CES2016】インテルがドローンやウェアラブルなど新産業に意欲

ロボティア編集部2016年1月7日(木曜日)

 これまでPC、半導体市場を席捲してきたインテル(intel)が、ドローン、ロボット、拡張現実(VR)、ウェアラブル分野への進出のスピードを早めている。5日、米ラスベガスで開かれたCES 2016では、インテルの新しい変化が注目を浴びた。

 海外メディアの報道によると、インテルはCES 2016の舞台でポータブルドローンや立ち乗りスクーター、ウェアラブルおよび拡張現実など、さまざまな分野の製品や技術を一挙に公開。同日、講演のステージに立ったブライアン・クラーザーニッチ(brian krzanich)CEOが、それら新製品と、この期間の経営成果について説明した。

 クラーザーニッチ氏は、世界の未来の姿と3つのトレンドを要約して説明した。まず、「スマートに接続された世界」、第二に「人間と同じような感覚を持つ技術」、最後に「超個人的なコンピューティング技術」である。

 講演で公開された製品のなかで最も注目を集めたのは、ボタンを押すとロボットに変身する立ち乗りスクーターだった。インテルが披露した立ち乗りスクーターロボットは、スマートホーム環境でさまざまな機能を実行できるように開発されたオープンプラットフォームロボットだ。音声認識機能やカメラ機能を通じたストリーミング動画機能を備えており、また周辺の障害物を避けて簡単に動くことができる。

 同ロボットプロジェクトは、開発者が簡単に関連プログラムや機能を開発できるようオープンフレームワークで進められる予定である。インテル側は、今年下半期に開発者を対象にしたバージョンを公開する計画だとしている。

 クラーザーニッチ氏は「我々はこれが新しい生態系のはじまりだと信じている。ロボットがオープンプラットフォームになり、有用なパートナーになる」と強調した。

 クラーザーニッチ氏は「ユニック(Yuneec)タイフーンH」というドローンも公開した。この製品は、インテルのリアルセンス3Dカメラ(3次元空間の深さ測定やマッピング、顔認識、ジェスチャー制御などが行える3Dカメラ技術)、折りたたみ可能なプロペラおよびランディングギアなどを搭載しており、4K級の鮮やかな動画を撮影することができる。

 インテルは、昨年からドローン市場に多大な関心を示してきた。昨年8月には、中国ドローンメーカー・ユニックに投資。今年が始まって間もない1月4日には、ドイツのドローン専門メーカー・アセンディングテクノロジー(ascending technologies)の買収を発表している。クラーザーニッチ氏は、アセンディングテクノロジーと共同で、ドローン飛行の際の衝突を回避するシステムを開発したと述べた。

 インテルは拡張現実の分野にも関心を寄せている。ダクリースマートヘルメット(Daqri Smart Helmet)は、ヘルメットに装着されているディスプレイに、Googleグラスのような各種情報を表示。インテルのリアルセンス3Dカメラが搭載されており、目に見える情景に付加情報を出力する。また、ユーザーの動きや音声を通じて命令を出すこともできる。

 ウェアラブル関連技術の開発にも意欲を見せた。 CES 2016ではクラーザーニッチ氏の紹介で舞台に上がったオークリー(oakley)のコリン・ベイデン(Colin Baden)CEOは、今年中の発売を目標に、アスリートの技量向上のためのウェアラブルを共同開発していると述べた。

 インテルは、スポーツブランド・ニューバランス(New Balance)ともコラボレーションを進めている。ニューバランスのCEOロバート・T・デマルティーニ氏とクラーザーニッチ氏はこの日、インテルのリアルセンス技術で製作した3Dプリントインソールを敷いたランニングシューズを履き、両社が共同でスポーツウォッチを開発していると明らかにした。