ロボット技術、人工知能、バイオテクノロジーの発展で、5年以内に約500万人の雇用が失われるという報告がなされた。
18日、「ダボスフォーラム(ダボス会議)」として知られる世界経済フォーラム(WEF)を控え、WEF会長のクラウス・シュワブ(Klaus Schwab)氏とリチャード・サマンス(Richard Samans)理事らは「仕事の未来(The Future of Jobs)」という報告書を発表。同報告書は、テクノロジーの変化がおよぼす職場やグローバル経済への影響をまとめたものなのだが、人工知能(AI)やロボットなどの技術開発が進むことにより、2020年に約500万人の雇用がなくなると予測がなされている。
今回の調査は、1300万人以上の労働者を抱える、先進国および新興国15カ国、371社の役員を対象に行われた。報告書では、豊な国(richest country)のなかで約710万件の雇用が消え、約210万人の雇用が新たに創出されることで、結果的に約500万人の雇用が失われるだろうという指摘がなされた。
報告書はまた、「現在、われわれは4次産業革命の入口にいる」と前置きした上で、ホワイトカラー事務職も「テクノロジー発展の傾向という災厄に直面するだろう」と言及。モバイルインターネットやクラウドテクノロジー、ビックデータ分析、Iotがいくつかの仕事を減少させるとしている。
シュワブ会長は「人材不足、大量失業、不平等の深化など最悪のシナリオを避け、時代の変化を追求するためには、国家は労働市場変化のための投資、および変化させるための投資に乗り出さなければならない」とし、教育分野、特に成人教育プログラムへの投資は、労働市場改革のための第一歩となると助言している。
CBSニュースは同報告書と関連して、世界の雇用市場はすでに大きな変化の渦中にあると説明。第四産業革命による急速な変化に対応するため、雇用主側は労働者にSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathなどいわゆる理系の能力)関連のスキルと経験を求めているが、10人中4人の雇用者は条件に合う労働者を見つけるのが難しい状況にあると解説している。またこれは、教育システムが労働市場の要求に即して変化できていない証拠であるとも指摘する。
シュワブ会長は、今年小学校に入学した子どもたちの65%はまだ存在しない仕事を職業とするとしており、将来の変化に備えるための教育が重要だと強調した。また、急激に変化する世界で企業が成功するには、性別、人種、年齢面における、人材の多様化が不可欠だと強調した。
photo by WEF HP