韓国・サムスンが家庭用ロボットJIBOなどに続々と投資

ロボティア編集部2015年9月3日(木曜日)

世界中の大手IT企業や新興ベンチャーがロボット産業に名乗りを上げるなか、韓国サムスンも人工知能(AI)開発企業に投資していたことが明らかになった。3日、サムスンベンチャー投資が、世界初の家庭用ロボット企業であるJIBOの投資に参加したと明らかにした。サムスン関係者は、「今年の初め、新事業の確保の一環として、ロボットスタートアップであるJIBOに投資した」と説明した。JIBOは、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のシンシア・ブリジール教授が、同僚とともに2012年に設立したベンチャー企業で、来年4月にロボット・JIBOの販売を控えている。

サムスンベンチャー投資は、サムスンが1999年に設立した投資会社で、サムスン電子とサムスンSDI、サムスン電気・三星証券・サムスン重工業が大株主となっている。サムスンのJIBOに関する投資に詳しい業界関係者は、「サムスン電子イ・ジェヨン副会長が、人工知能技術とロボットをはじめ、ヘルスケア、スマートカーのような分野に関心が高い」とし「サムスンがJIBOに投資した金額は200億ウォン(約20億円)規模」と説明した。

スタートアップ専門の米データ企業・クランチベースによると、今年に入って、サムスンベンチャー投資が行った投資はJIBO を含め15件になる。 2003年から今年8月までに、計100件余りの投資が執行されたことを勘案すれば、全体サムスンベンチャー投資の約15%が、今年に集中していることになる。投資企業の面々を見ると、サムスンが未来に抱いている興味、そしてイ・ジェヨン副会長が持つ野望がどこにあるかを推測することができる。

サムスンは、電気自動車のバッテリーを5分で充電することができるストアドット(StoreDot)社をはじめ、人工知能の専門企業であるバイキャリアス(Vicarious)社、スマートカーのプラットフォーム企業ビンリー(Vinli)社に投資を行っている。

イ・ジェヨン会長
photo by 韓国経済 2020年までIOCのスポンサーを継続すると発表した際のイ・ジェヨン氏(2014.08.17北京)

昨年5月に急性心筋梗塞で倒れたイ・ゴンヒ(李健煕)会長の座を受け継いだイ・ジェヨン副会長(47 写真右)。ロボット分野への投資は、彼が導いて行くサムスンの未来ともつながりが深い。スマートフォンの販売不振で苦戦しているサムスン電子と、業績悪化でグループレベルの経営診断を受けているサムスンSDI、非主力事業の構造調整を終えたサムスン電気など、サムスン系列会社がヘルスケアやスマートカー、IoTに集中するという意味にも解釈することができる。サムスン電子の関係者は、「サムスンベンチャー投資が設立初期の半導体やディスプレイ技術を保有している企業に投資したのが、サムスン電子の半導体、ディスプレイ事業の急速な成長を導いた」と「将来の技術を確保するという観点から投資を増やしている」と説明した。

スタートアップに対する投資は、サムスンの実際の事業も繋がっている。去る2日、サムスン電子が公開した「スリップセンス」が代表的である。この製品は、今年の初め、サムスンベンチャー投資が投資した、イスラエル・ベンチャーのアーリーセンス(EarlySense)のセンサー技術を活用したもので、ベッドのマットレスの下にこの機器を置くと、睡眠中の脈拍や呼吸、動きをリアルタイムに分析することができる。

イ・ジェヨン副会長が大株主(持分11.25%)であるサムスンSDSは、去る7月、サムスンベンチャー投資とともに100億ウォン(約10億円)の投資ファンドを設立した。業界関係者は、「人工知能技術など、将来有望な技術の確保に投資するものとみられる」と述べている。

(ロボティア編集部)